セに負けず劣らず、パ・リーグにもトラブルは尽きない。開幕を前にして“爆弾低気圧”さながらに強風が吹きすさぶ大荒れ模様なのである。
「業績が悪いのは理解していますが‥‥」
こう戸惑いながら話すのは楽天担当記者である。楽天グループの22年純損益は、3700億円超の大赤字。その余波が球団にまで及んでいるというのだ。
「球団スタッフから『楽天モバイル』の勧誘がひっきりなしに来るんです。赤字の大部分はモバイル事業によるものだっただけに、必死なのでしょう。もちろん強制ではありませんが、付き合いで契約してしまうメディア関係者や出入り業者は珍しくない。ノルマを課せられたスタッフの中には、他人から名義を借りてみずから料金を支払って契約する“自爆営業”に手を出すケースも。石井一久監督(49)をはじめ選手たちは与り知らないことかもしれませんが、球団スタッフたちは野球どころではありませんよ」(楽天担当記者)
グループ共倒れにならなければいいのだが‥‥。同様に、業績で四苦八苦しているのは西武だ。スポーツ紙デスクが語る内情は悲観的なものばかり。
「昨季の観客動員数が12球団最下位で、チケット収入も今ひとつ。西武グループ全体の業績は回復基調ですが、ライオンズの家計は火の車ですよ。今年のキャンプインを12球団で唯一、1週間遅らせたのも資金がなかったからと言われます。今オフには山川穂高(31)のFA移籍が取り沙汰されていますが、引き留めるだけの予算は確保されていないでしょう」
今季から先発に転向した平良海馬(23)も将来的なメジャー移籍を宣言した1人。オープン戦で登板した14イニングを無失点で抑えた“無双状態”だが、その市場価値はなぜかリリーフ時代から暴落していた。MLBスカウトが語る。
「160キロに迫るストレート、スライダー、チェンジアップのコンビネーションで奪三振の山を築いた、リリーフ時代ほどの怖さはない。また、21年オフにスコット・ボラス氏と代理人契約をしたことでバツが付いた。というのも、MLB球団は高値掴みさせられるのを恐れている。“吸血鬼”の異名を持つ、ボラス氏に泣かされた球団は少なくありませんからね。平良クラスの投手は3年周期で日本に現れる。すでにスカウトの関心は、次世代の選手にシフトしていますよ」
とはいえ、オープン戦で西武のチーム防御率は1点台。盤石な投手陣とは裏腹に打率と得点数は12球団最下位に位置する。
「かつて“山賊打線”と呼ばれていた面影はありませんよ。得点源となる頼みの山川の爆発に期待したいですが、WBC期間中の打席はわずか7打席のみ。例年であれば、オープン戦の実戦で課題を洗い出して、室内練習場で“居残り特打”を数時間こなしていた。本人は『状態はいい』と口にしていますが、主砲として機能するまでには時間を要しますよ」(スポーツ紙デスク)
大会中、全治3カ月の右手小指骨折に見舞われた源田壮亮(30)の状態も未知数。西武は「WBC後遺症」から逃れられそうもない。