今年2月以降、ある電力会社の電気代請求額が「とんでもない高額」として利用者の悲鳴が相次ぎ、大きな問題となっている。
くだんの会社は、東京都豊島区に本社を置く「グランデータ」という新電力会社。新電力とは、大手電力会社(東京電力、関西電力など全10社)ではない電力供給会社を指す。東電などの電気料金の値上げが続く昨今、電気代節約の観点から注目度は高まっていた。
つまり今回、声を上げた利用者は、さらなる電気代の高騰を見越して大手から乗り換えたものの、それ以上の高額請求が来た。しかも到底「誤差の範囲」と言えないような、とんでもない金額だったというわけだ。
いったいその金額はいかほどか。SNSなどで同社を「告発」するコメントを見てみると、
「電気代5万円超えなんだけど」(単身者)
「13万円でした。このグランデータやばい会社っぽい」(5人家族)
確かに聞いたこともないような額である。同じ境遇にある利用者同士がSNSを通じて「被害」を報告し合い、グランデータ社にはさらに多数の苦情が寄せられた。
一気に急増したクレームに対応すべく3月16日、同社はコメントを発表。請求書が届いて初めて、利用者がハネ上がった請求額を知るという事態を謝罪しつつも、
「市場の動向によっては高額な請求となる懸念自体は認識があったものの、世界的に不安定な情勢の中で市場の先行きを予測することが困難であった」
と一定の理解を求めた。だが利用者のひとりは、声を荒らげて同社を批判する。
「そんな言葉でごまかされるわけがない。料金が高すぎたから解約しようとカスタマーセンターに連絡したって、なんだかんだごねて全く応じてもらえなかったし、折り返し連絡を約束しても、いっこうに電話がかかってこなかった。SNSの被害報告では、勝手に別の割高な料金プランにさせられている人や、『消費者センターに連絡して初めて、解約手続きができた』とか『解約したはずなのに、翌月解約されていなかった』という声まであったんです。悪質としか言えません」
実は大手からの乗り換え手続きに関しても、怪しげな手法が登場していたという。
「利用者の中には、引っ越し時に不動産業者から『電気代が安くなる』と、同社と契約するよう勧められた人もいたようです。しかも全国展開し、テレビCMも流しているような大手不動産仲介会社から。契約数ごとにインセンティブが支払われる形だったのでしょう。また、同様に引っ越しをした利用者が、自分で手続きしようとネットで大手電力会社、例えば『東京電力 引っ越し』と調べると、検索結果の上位に、正規の東京電力のサイトとともに『東京電カ‐電力開始手続きはこちら』というような文言のサイトが現れます。これは様々な新電力会社の電力プランへの契約に誘導するサイトで、グランデータ社もそこに含まれていた、との指摘もありました。電力の表記が力(ちから)ではなく、カタカナの『カ』だっていうから、バカにしてますよ」(ITライター)
なにやら詐欺まがいのようなサイトだが、グランデータ社は、そうしたサイトの運営は行っていないと否定している。なお、この誘導サイトは現在、検索結果上位に表示されることはなくなった。
東京電力をはじめ大手電力会社では、いったんは先送りが決定したものの、この4月以降にまた料金値上げが予定されている。新電力会社での光熱費節約を思案する国民は、その会社をきちんと調べ、怪しいところがないか、十分すぎるほど確認した方がいい。