韓国統一省が初めて公にした「北朝鮮人権報告書」が世界を震撼させている。
約450ページにもわたる分厚い報告書は、2017年以降の脱北者508人の証言をもとに、北朝鮮における人権侵害の実態を告発したものだ。中でも世界を仰天させたのが、公開処刑をはじめとする、以下のような金正恩総書記の蛮行だった。
●故・金日成主席の肖像画を指差しただけの妊婦が、公開処刑された
●青少年6人が韓国の動画を見たなどとして、ただちに銃殺された
●83号管理所と呼ばれる施設で、精神疾患者や身体障害者らへの生体実験が行われた
だが、同報告書が暴き出した戦慄の実態は、単なる氷山の一角にすぎない。北朝鮮の内情に詳しいジャーナリストも、金正恩の残忍性を次のように指弾している。
「その惨劇は首都・平壌の近郊で起きました。学生時代の金正恩夫人が恋人と抱擁している写真を回し見した9人の楽団員と芸術団員が、公開処刑されたのです。9人は丸太に縛りつけられ、自動小銃で一斉射殺されました。この時に浴びせられた憎悪の銃弾数は、1人あたり100発にも及んでいた。まさに想像を絶する復讐劇です」
しかも、公開処刑場には数千人に上る北朝鮮国内の芸術関係者が集められ、仲間の楽団員や芸術団員らは最前列に座らされたというのだ。
「当然ながら、100発近い銃弾を浴びせられた遺体はズタズタ。さらに金正恩の命令によって、丸太から引きずり降ろされた遺体は見せしめのため、最前列にいた仲間らの目の前に次々と投げ出されたのです。この公開処刑は金正恩の個人的な復讐心によるところが大きいとされていますが、見せしめだけを目的とした同様の公開処刑は、数限りなく行われているのです」(前出・ジャーナリスト)
もはや「常軌を逸した残虐非道」以外に、言葉は見つからないのである。