北朝鮮の金正恩総書記がミサイル発射現場に同行した「娘」について、韓国をはじめ米英などの情報機関でさまざまな憶測が飛びっている。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信が、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射を現地指導した際、金氏が李雪主夫人と共に「娘」も同行したとして、写真とともに記事を掲載したのは11月19日のこと。
「公開されたミサイル発射関連の写真は全部で25枚。うち、娘が映っているのは5枚で、少女は白のダウンのコートに黒いボトムス、赤い靴、髪はポニーテールにして、その服装からも一見して彼女が特権階級であることは明らかです。さらに記事では《歴史的な重要戦略兵器試験発射場に愛する子弟と女史と共に自ら赴き、試験発射の全過程を直接指導》と、夫人より先に娘を紹介したことが注目を浴びています。周知のように北朝鮮では建国の父、故金日成から3代世襲が続いており、少女が正恩氏の娘であれば、『白頭山の血統』を継ぐ4代目となる可能性もある。一部韓国メディアでは、女帝として次期後継者になるのではないかと報道がエスカレートしています」(全国紙記者)
北朝鮮は、世界で最も秘密主義的国家の1つ。そのため、正恩氏ファミリーに関しては現在も厚いベールに包まれている。ただ、韓国の国家情報院などによれば、金総書記には子供が3人いて、1人目は2010年、2人目は2013年、3人目は2017年ごろに誕生したと推定されている。
「これは13年9月に、金総書記と親交のあるNBA元選手、デニス・ロッドマンが金氏の招きで訪朝後、『赤ん坊のジュエを抱っこした』と英紙ガーディアンのインタビューに語ったことで明らかになったものです。北朝鮮専門アナリストによれば、金氏には娘2人、息子1人、計3人の子どもがいるとみられるものの、息子はまだ幼く、ジュエ氏が第一子だとの見方もある。そうなれば今回のお披露目が、彼女を後継者として印象づける演出だった可能性も否定できないのです」(前出・全国紙記者)
とはいえ写真で見る限り、少女はおそらく10歳前後。仮に後継者としての“お披露目”にしても、いささか幼すぎる気もするが‥‥。なぜ、このタイミングなのか。
「考えられる要因の一つが、金氏の健康上の問題です。独裁者にとって政権の安定を脅かす最大リスクは健康状態。金氏は現在38歳ですが、一時期はダイエット効果もあったのか、ほっそりとしたものの、ここ数カ月は明らかにリバウンドしている様子が見て取れる。さらに映像を見る限り、相変わらずのヘビースモーカーであることも間違いない。米韓との駆け引きとミサイル発射で、相当のストレスに襲われていることも間違いないでしょうから、健康上に不安を抱えている可能性もあります。そういう意味では、今後この娘がどの程度の頻度で公の場に登場するのかが判断材料になると考えられます」(国際ジャーナリスト)
2018年6月、米国のトランプ前大統領と会談した際、金氏は「私も子を持つ親。核を持ったまま子供たちに引き渡すわけにはいかない」と発言をし、非核化の意思を示したと報じられたが、残念ながらその言葉が実行される気配はない。
(灯倫太郎)