巨人・原辰徳監督が、究極ともいえる延命策に打って出る──。
今、球界ではそんな話題が駆け巡っている。長年、プロ野球の取材に携わってきたスポーツ紙ベテラン記者が、ズバリ指摘する。
「それはWBCで侍ジャパンを優勝に導いた、栗山英樹氏の招聘です。シーズン途中でもあり、正式なポジションを用意するのは難しいですが、臨時コーチなら可能性は十分ですね」
巨人一筋の原監督と、現役時代はヤクルトでプレー、監督業は日本ハムの栗山氏とは接点がないように思われている。だが栗山氏は、バリバリの「原派」なのだ。スポーツ紙アマチュア野球担当デスクは、
「創価高校出身の栗山さんですが、実は原監督とその父親である故貢氏の原一家に憧れて、中学時代に東海大相模野球部のセレクションを受けたほど。その縁で解説者時代は東海大の臨時コーチを務めたこともありますし、2014年には亡くなった貢氏を偲ぶ会にも出席しています」
そうした「深い関係」もあり、暴力事件を引き起こした中田翔の巨人移籍が実現した、という話にもなっている。
WBCの結果を受けて、栗山争奪戦はすでに始まっている。当面、解説者やスポーツキャスター生活に戻るならば、長年出演していたテレビ朝日が有力だが、様々な道を模索しているという。
「教員養成大学たる東京学芸大卒の経歴もあり、大学で再び教壇に立つ可能性もあります。それなら解説者業とも両立できる。日本ハム監督の再登板もあるでしょう。2年連続最下位街道をまっしぐらで、新球場は空席が目立っていますからね」(前出・ベテラン記者)
そうした選択肢の中でもっとも衝撃的なのが、今オフの電撃巨人入りだ。球界OBが展望を語る。
「原監督は院政を頭に入れているようだね。栗山氏を監督に据えて、自分はGMなり総監督に就任。チーム内に影響力を残すんじゃないかな。阿部慎之助以下、スタッフの力量には疑問符を付けているし、栗山氏ならコントロールできると考えても不思議ではない」
最下位争いをする現状では、巨人監督史上初の「シーズン途中解任」も囁かれている。だが原監督は、ただ黙ってユニホームを脱ぐほど甘い人間ではない。したたかに、延命もウルトラC策を練っているのは間違いないところだ。
(阿部勝彦)