「これはあり得ないだろう」「死装束ではないか」「日本はいつからこうなった? 常識が通じない」
とあるポスターが、SNS上のこうした書き込みで、大炎上する「事件」が起きた。ポスターの女性の着物の衿が左前だったからだ。この件について、主催者の「銀座今昔きもの大市」が公式ツイッターで、このポスターに言及した。
「銀座今昔きもの大市」は着物を「もっと気楽に、もっと身近に、もっと自分らしく」をコンセプトに、日本全国から選りすぐりの着物関連業者が集まる展示即売会だ。「32th」と銘打ち「品数充実のアンティーク着物などメンズも増えて、大セール!」と告知していた。
この日、同イベントの公式ツイッターでは「『今昔きもの大市』は現在炎上中ですが」とした上で「皆様の着物愛を改めて感じ感動です」とコメント。「炎上でもこのイベントでの着物は着物愛に満ちた札幌、滋賀、京都、大阪、奈良等から着物店が銀座に集まります。『もっと気軽に、もっと身近に、もっと自分らしく』を開催理念としておりますのでご来場ください」と呼びかけた。
これが「素直にポスターは間違いでしたと謝ったほうがいい」「言い訳が苦しすぎる」などと反発を食らっているのだ。
こうした問題は過去にも発生している。
「21年10月、TBSテレビのモニタリングに出演する安藤美姫の浴衣姿が左前でした。局には相当な抗議がきたらしいです。スタッフもスタイリストも誰も気が付かなかったのか、という論調ですね。あまりにもお粗末だとしか言いようがありません」(民放局スタッフ)
これ以外にも、スタジオに浴衣姿の女性観衆を集めたお笑い番組で、観客の約半分が左前だったことがあった。日本では左前も認められたのだろうか。
「いや、冗談じゃありません。昔から左前は死装束とされているんです。知らないのは躾ができていない家庭、常識に欠ける家庭で育ったからでしょう。テレビで平気で左前の着物を見せているのは『私はバカですよ』と言っているのに等しいと思います」(都内の老舗呉服店主)
最低限守らなければならないルールは何にでもあるが、着物の場合は襟が左前でないことは基本中の基本であろう。着物販売の主催者側がそれを無視するなど、自分で自分の首を絞めているようなものなのである。