4月22日午前11時10分頃、神戸市長田区東尻池町のラーメン店「中華そば 龍の髭」で、店主の50代男性が頭から血を流して倒れているのが見つかった。男性に意識はなく、病院へ搬送されたが、死亡が確認された。兵庫県警長田署は身元確認を進めるとともに、殺人事件の可能性があるとみて調べている。
長田署によると、店の女性従業員が食材の買い物から戻って来た際、厨房で頭から血を流して倒れている男性を発見。「店主が倒れている」と消防に通報した。
同店は2016年5月に開店し、「テールスープラーメン」や牛を煮た具材が乗っている「ぼっかけラーメン」に人気があった。3年ほど前に、現在の店長に交代。開店時間は11時半だといい、開店準備の仕込みの最中に襲われたとみられている。時々店を訪れる男性客が言う。
「味は前の店主から引き継いだと、今の店主が言っていたし、同じ味でした」
コロナ禍でも営業を続けていたようで、テイクアウトのメニューも扱っていた。この男性客が続ける。
「たまにラーメンをテイクアウトしていたのですが、スープと麺が別々の容器に入っているはずなのに、麺が入っていなかったことがありました。お店に電話したら店主が麺を届けてくれて『申し訳ありませんでした』と謝ってくれました。腰の低い人でしたよ」
また、別の常連客が言うには、
「たまに何人ものヤクザが店で宴会を開いていたのを見てからは、足が遠のきました」
捜査関係者によれば、被害者は指定暴力団「山口組」弘道会系組織の余嶋学組長だという。店主を発見した女性従業員は当初「脳溢血か何かで倒れたと思っていた」と証言。病院に運ばれ、死因が銃によるものだったことが判明している。地元関係者が眉をひそめて言う。
「口の中に銃を突っ込んで発射したようで、頭の後ろまで貫通している。こんな残酷な殺し方は、よほどの恨みがあったのではないかと…。暴力団同士の抗争の可能性も視野に入れて捜査しています」
兵庫県警は警察犬を出動させて犯人の足取りを探り、付近の防犯カメラ映像を解析するなどしている。