男性職員を性犯罪者扱いしかねない、NHKの公式ツイートが大炎上中だ。
きっかけはNHK福祉ポータルサイト「ハートネット」の公式アカウントに、女性障害者から寄せられた、ある投稿だった。
「女性障害者が男性から入浴や排泄介助を受けることは、単なる羞恥心の問題ではありません。尊厳の問題です。心身共にナイフでズタズタにされる感覚でした。性犯罪被害に遭っているのと感覚は変わりありません」
頭ごなしに男性介護職を侮蔑、差別する内容に、6000件以上の抗議引用リツイートがついた。
異性の前で着衣を取られ、デリケートな部分を触られる不快感は理解できる。介護や福祉の現場では、男性障害者は男性介護職、女性障害者は女性介護職が世話をする「同性介助」が基本だが、入浴介助だけは別だ。
入浴介助はシャンプーや石鹸、障害者の体脂、流水などで滑りやすく、女性介護職の腕力では滑って障害者を落とす危険だらけ。障害者と抱き抱えた女性介護職がそろって転倒し、どちらも大腿骨や腰の骨を折るという事故も、過去に起きている。女性介護職が3人いても入浴介助は困難を極め、障害者がケガをするばかりでなく、女性職員ももれなく腰や腕を痛めてしまう。腕力がある男性介護職が女性障害者の入浴介助をするのは、安全上の配慮なのだ。
それでも「性犯罪に遭っているかのよう」と納得しない障害者には、設備の整った施設に出向き、リフトや可動式ベッドを用いた入浴介助サービスを受ける選択肢がある。
他の選択肢を提示しなかった福祉責任者が悪いのであって、障害者のために手取り20万円以下のブラック待遇で365日24時間、正月も返上で献身的に世話をしている男性介護職には、何の落ち度もない。男性というだけで差別されるなら、福祉や看護、保育、教育の現場から男性職員がいなくなってしまう。
一方で、こんな話もある。今回のツイート炎上の舞台となったNHKの職員、職員OBは、全国各地の老人福祉施設で問題を起こしている。公営の老人福祉施設には収入制限が設けられており、一部の自治体の例を挙げれば、年収1200万円以上、相応の資産がある人は公営の老人福祉施設には入れない。
ところがNHK職員OBの一部は「資産を隠蔽して入所」したり、「収入制限以上の年金を受け取っていることが判明しても退去に応じず居座る」などのトラブルを起こしているのだ。
NHKハートネットの介護職ヘイト助長が「NHK職員が公営の福祉施設に入れない意趣返し」であるとは思わないが、障害者福祉を扱う番組なのに、福祉現場に無理解であることだけは明らかだ。
(那須優子/医療ジャーナリスト)