「押さないで!」
4月22日の夕刻。神奈川県にある平塚球場の選手駐車場周辺で、DeNAの大物外国人投手バウアーによるゲリラサイン会が開催されていた。そこにスタッフの声が響く。現地を訪れたスポーツライターが語る。
「サインを貰いたいファンが200人ほどが押し寄せていました。何カ所かに分散して待機していたのですが、選手やスタッフがひと通り帰宅した後に現れたバウアーを見るや『アッチに出てきたぞ!』と一目散に集結。中には幼児を抱き抱えたまま揉み合いになるファンの姿もありました。いつ『雑踏事故』が起こってもおかしくない状況でしたよ」
さすがに危険を察知したのか、バウアー本人がファンを落ち着かせるために両手を上げ、一歩ずつファンを後退させるジェスチャーを見せる一幕も。サービス精神豊富な元メジャーリーガーは、20人ほどにサインをして黒いミニバンに乗り込み、球場をあとにしたのだった。
「この日は楽天との2軍戦にもかかわらず、約2500人のファンが来場しました。ところが6回途中にバウアーが降板するや、見晴らしのいいバックネット裏を中心に、3割ほどの観客が席を立つ事態に。他のファームの選手には興味がないんでしょうね」(前出・スポーツライター)
一部のファンは球場の駐車場付近で、選手の出待ちのために待機。試合終了後に自家用車やバスに乗り込む選手に声をかけ、サインや写真撮影を求めるのだ。その大トリがバウアーだった。
「サイ・ヤング賞投手のサインは、それだけで価値があります。その証拠に、フリマサイトのメルカリでは、直筆のサインボールが1万2000円で落札されている。次回の登板は4月29日の2軍戦が濃厚ですが、5月上旬の1軍デビューを目指すバウアーにとって、2軍で投げる最後の機会になりそう。それだけに、サインを求める『転売ヤー』が大量に押し寄せないか、心配です。1軍に昇格してしまえば、気軽にサインを求めるチャンスは激減してしまいますからね」(前出・スポーツライター)
ファンを装った「商売人」には退場願いたい。