パ・リーグ6球団の関係者が、祈るような気持ちでオールスター「プラスワン投票」を見守っている。サイ・ヤング賞投手のDeNAトレーバー・バウアーのことだ。スポーツ紙遊軍記者が明かす。
「全パの出場メンバーは、バウアーをいかに打ってアピールするかで盛り上がっています。彼は性暴力事件の加害者とされた影響で、現段階ではメジャー復帰が難しいわけですが、その実力はアメリカでも評価されている。メジャー指向のあるパ・リーグの選手にとって、バウアーとの対戦は自らの実力を推し量る意味でも、メジャー関係者にアピールする意味でもチャンスですからね。ただ、パの球団にとっては気が気じゃないので…」
実際のオールスターは真剣勝負の場というより、お祭りの場だ。もし、プラスワン投票の結果、球宴出場が決まったとしても、バウアーが公式戦のような真剣な投球をするかどうかはわからない。まして球宴が終われば、大事なペナントレースの優勝争いが佳境へと突入する。ある程度、力を抜いた投球になれば、
「それはそれで、逆にまずい」
と、パ・リーグ球団OBは言うのだ。なぜかといえば、
「最近の選手はすぐに浮かれるからね。真剣勝負でもないのに、バウアーを打ってその気になる可能性がある。目先にメジャー挑戦がチラつけば、ペナントレースどころではなくなっても不思議ではない」
オールスターは大物選手の落選が目立ち、盛り上がりに欠けている。サイ・ヤング賞投手が日本の球宴で登板することになれば、マスコミが飛びつく話題になるのは間違いないが、それに顔をしかめる人たちもいるのだ。プラスワン投票は7月12日に締め切られ、14日に発表される。
(阿部勝彦)