投壊に見舞われた原巨人に、桑田真澄ファーム総監督の「1軍投手コーチ復帰コール」が巻き起こっている。長年、プロ野球取材に携わってきたベテラン遊軍記者は、チーム内の雰囲気について、次のように説明する。
「4月30日の広島戦に、11失点で敗戦。4月を借金3で終えたことで、完全にピリピリムードですね」
丸佳浩や坂本勇人の主力打者が開幕から不調な上に、4番の岡本和真も、本塁打はわずか2本(4月終了時点、以下同)。好調なのは打点、本塁打部門で首位争いをしている中田翔ぐらいなものだろう。それでもチーム打率や総得点はセ・リーグ6球団でも上位だが、目を覆いたくなるのは投手陣だ。
若きエース・戸郷翔征は3勝しているが、他の先発や中継ぎ陣が機能せず、チーム防御率はセ・リーグ最下位の3.90。リーグ5位の広島が2.74ということを考えれば、惨憺たる状況は明らかだ。
スポーツ紙デスクはその原因の一端について、
「阿波野秀幸チーフ投手コーチと投手陣が、あまりうまくいっていないのです。過去、横浜や中日で投手コーチを担った時もそうでしたが、間違ったことは言っていないものの、結構な体育会気質で厳しい。打たれた投手が萎縮しても不思議ではないのです。昨年の桑田コーチとは正反対で、戸惑いもある」
桑田ファーム総監督は現役時代から、体育会気質や根性論に反発してきた。そのため、昨シーズンは「ジャイアンツ愛」の旗印の下、無理強いするような原監督の投手起用に異を唱えることも多かった。それが原監督との間に溝を生じさせ、今シーズンから配置転換された理由だとされている。球団OBが苦笑する。
「監督やコーチが厳しいのは、仕方がない部分もある。それでも桑田コーチは体を張って守ってくれたのに、と思っている選手もいる。甘えといえば甘えだが、それも時代の流れかもしれない」
桑田コーチの1軍復帰でチームが激変するとは限らないが、もう藁にもすがる時期が来ているかもしれない。
(阿部勝彦)