あのトボけた風貌の監督を戴く阪神が開幕から好調をキープしている。率いるのは「そらそうよ」が口癖の「最年長指揮官」。優勝のことを「アレ」と呼び、なんとチームのスローガンまで「A.R.E.」とするフィーバーぶりだが、時には怒り、時にはゴキゲンに発する「ボヤキ節」が大注目されているのだ。
「代えてたんやね、アレね。何で代えてたんやろ? まあよかったですね、はい」
3月31日に行われたシーズン開幕戦の阪神対DeNA戦。守備固めで出場していた阪神の板山祐太郎(29)が、4点リードの7回表に右中間への大飛球をスーパーキャッチ。試合も6-3で制し、上機嫌の岡田彰布監督(65)は、試合後のインタビューでそんな風にトボけてみせた。
今季、15年ぶりに阪神の監督に復帰した岡田監督が、とにかく「絶口調」なのだ。各紙がこぞってコメントを取り上げ、紙面やネット記事を賑わしている。
「プロ野球監督の一言一句がここまで注目されるのは、あの野村克也監督以来。ノムさんはマスコミへのサービス的な意味合いも多分にありましたが、岡田さんは思ったことをそのまま口に出すタイプです。それがコテコテの関西弁と相まって、何とも言えない味が出てウケているのだと思います」(スポーツ紙デスク)
冒頭のコメントも、かつてのノムさんばりのボヤキそのもの。口が滑らかなのはチームの好調も関係してのことだろう。同じく阪神OBで監督も務めた野球評論家の真弓明信氏が語る。
「投手に関しては、開幕前に伊藤将司(27)が故障し、守護神の湯浅京己(23)も離脱。青柳晃洋(29)や西勇輝(32)も調子が上がらない中、村上頌樹(24)を筆頭に、思っていた以上にうまくカバーができている印象です。もう少し点が取れればもっといいですが、佐藤輝明(24)にしても、シーズン開幕当初に比べて、ミートのポイントがボール1個か1個半ほど前になって、よくなってきた。打線はこれから上向きになると思います」
一方で「ダメなものはダメ」ときっちりボヤいてみせるのも岡田流である。
「佐藤にはキャンプ時から『お前は天才でも何でもないんや』と、打撃改善を説いてきました。プロ野球の監督は選手を叱らなかった矢野燿大前監督(54)しか知らず、高校、大学と強豪校でシゴかれなかった佐藤は精神的に強い選手とは言えません。打つ時はバカ打ちしても悪いとサッパリという波のある成績でしたからね」(球界関係者)
開幕後も「打てんかったら外すよ。しゃあない」と特に主砲には手厳しく接している。ローテの中心と期待した西に対しても同様で、GWの5月3日ヤクルト戦、2回に一挙6点を失いKOされた際には、
「西、あかんなあ、おーん。あんだけ初球バンバン打たれるか。(再調整の余地が)そら、あるある。あまりにも悪すぎるもんなあ」
西自身はモノ言う岡田監督の影響からか、今季「勝ち負けだけで投手の評価を量るのは古い考え」「メディアの人たちに価値観を変えてほしい」など、記者の囲み取材などで球界の意識改革を訴える場面があり、マスコミから総スカンを食らうことがあった。真弓氏が指摘する通り、打棒が復活しつつある佐藤はさておき、成績を残せず言いたいことだけを言う選手を降格させることに、岡田監督は何のためらいもないはずだ。