戦術眼がキラリと光るボヤキを見せたのはGWのこと。5月3日の中日戦、2死一塁でバッターは打撃好調の木浪聖也(28)だった。
カウント2-2でランナーの梅野隆太郎(31)が盗塁失敗したのだが、岡田監督は試合後にこう明かした。
「初球から(盗塁の)サイン出しとったのに。久しぶりに塁に出て忘れとったんとちゃうか。自爆で行けと言うとったんや」
アウト覚悟で成功すれば、2死二塁で木浪勝負、失敗しても次の回で木浪が先頭打者になれる、ということだ。
一方で負けず嫌いが高じたどぎついボヤキも。同2日、同じく中日戦で2点を追う8回にノイジー(28)、9回に小野寺暖(25)が見逃し三振となったストライク判定を巡り、
「あれ、ストライクか? クソボールやろ。ノイジーのもお前。初球とかな、まだカウントの時はええけど、最後なんかあんなもんクソボールちゃうの!? 小野寺の。あんなもん、ファンの人も見てるんやからのう」
この発言に球界関係者は理解を示す。
「岡田監督が選手やコーチに対して厳しいのは、彼らがプロだから。同じように審判にもプロでいてほしいという気持ちの裏返しなんですよ。例えば『(選手の)休養日とかおかしいよ。それが今の野球かもわからんけど、俺にはそんな考えは一切ないよ。毎日給料もろてんのに』と言ったり、コーチに対して『責任は俺が全部取るから、選手にどう指導するかはお前らが自分で考えろ』と言っていますが、それと一緒。米メジャーに代表される最新知識を取り入れつつも、すべてを妄信するわけではなく、日本のプロ野球はこうあるべき、という確固たる信念が岡田監督にはあるんです」
真弓氏も続いて、
「自分の目を信じていますよね。この選手が伸びればチームが強くなる、このポジションにコンバートすればうまくいく、などを常々考えていると思います。現時点で絶好調の選手にしても、このままシーズン中ずっと調子がいいはずはない、と過剰な期待をせず2手先、3手先まで想定しているはずです」
チームに返り咲いた「新ボヤキ王」が、再びトラを頂点に導くのか。最後に、今季一番ゴキゲンだったボヤキを紹介しよう。
「報道ステーション」(テレビ朝日系)のスポーツキャスターに就任したヒロド歩美(31)は、在阪の朝日放送アナ時代から阪神の現場に日参しており、岡田監督は顔なじみ。4月13日の東京ドームでの巨人戦の直前、直撃インタビューに答えていた。取材後は鼻の下を伸ばし、こう語っている。
「アイツも売れたな。売れる時は売れるもんやなあ」
オヤジ殺しの女子アナに転がされようとも、チームを勝たせてくれればそれでいい。トラキチたちは皆、そう願っているだろう。