NHK教育テレビ(現Eテレ)の幼児向け工作番組「できるかな」に「ノッポさん」として出演していた高見のっぽさん(本名=高見嘉明)が、心不全により昨年9月10日に亡くなっていたことが分かった。享年88。
1970年4月から90年3月まで放送された「できるかな」で「ノッポさん」は一切しゃべらず、着ぐるみで鳴き声のような音を出す「ゴン太くん」との無言劇が繰り広げられた。ナレーションの説明により番組が進行するのだが、実は最終回、ついにノッポさんが、
「あ~あ、喋っちゃった! 今日は特別なんです。長い間ね、皆と友達でいたけれど、4月からこの番組は『ともだちいっぱい』という新しい番組と代わります」
と言葉を発し、多くの視聴者を驚かせた。
セリフのないキャラ設定ができた経緯について、テレビ関係者が回想する。
「彼は『できるかな』の前身の『なにしてあそぼう』から抜擢され、名は『ノッポさん』でも、異なる格好で出演していました。当時からパントマイムでの無言劇で、キャラクターと掛け合いするスタイルが確立されていました。本人は番組の自由度が高かったと語っており、キャラ設定も任されていたようです」
「なにしてあそぼう」から「できるかな」に移行した際、ノッポさんは一度降板するが、視聴者の熱望により71年に再登場し、以後はレギュラー出演となった。
「ノッポさんの父親は俳優や奇術師として活躍した。チャーリー・チャップリンの大ファンで、モノマネを得意としていたそうです。ノッポさんは幼い頃からサイレント映画の話をよく聞かされ、父親に付き添ううちに、芸能界入りしたといいます。それが『ノッポさん』に反映されているのでしょう」(前出・テレビ関係者)
そんなノッポさんは今も、大人になった我々の心に生き続けている。