5月19日から21日に広島で開催予定の、G7サミット(先進7カ国首脳会議)。岸田文雄総理のお膝元で開かれる、この記念すべきG7サミットに、なんとアメリカのバイデン大統領が出席できない可能性が浮上したのだ。
目下、アメリカでは、政府の借入金の限度を定めた「債務上限」の引き上げを巡って、イザコザが勃発。無条件の引き上げを求める与党民主党と、歳出削減の断行などを求める野党共和党が、激しく対立している。5月9日、バイデン大統領はホワイトハウスで共和党のマッカーシー下院議長らと会談したが、議論は平行線のまま、合意には至らなかった。
そして衝撃発言は、会談後に行われた大統領会見で飛び出した。バイデン大統領は「債務上限の引き上げは唯一最大の政策課題」とした上で「交渉が詰めの段階に入れば、問題が解決するまで留まるつもりだ」と明言。「サミットを欠席する可能性はあるのか」との記者の質問に対しても「ありえるかもしれない」という驚きの見通しを示してみせたのである。
今年1月、アメリカの政府債務は上限の約31兆4000億ドル(約4200兆円)に達し、米財務省が特別措置によって資金繰りを支えるという、綱渡り状態が続いている。民主党と共和党がこのまま合意に至らず、新たな借り入れができなくなれば、アメリカは6月1日にもデフォルト(債務不履行)に陥り、世界経済に深刻な打撃を与えることになるのだ。
一連の事態を受け、松野博一官房長官は会見で「他国の内政問題についてコメントすることは差し控えたい」としながらも「米国政府から本件についての通告は一切、受けていない」との事実を明らかにした。官邸内では早速、動揺が広がった。岸田総理に近い岸田派の有力幹部も、次のように重大な懸念を口にする。
「G7広島サミットの最大のテーマはズバリ言って、ロシアや中国による覇権主義への対応です。したがって、バイデン大統領なしでは事実上、サミット自体が成立しない。仮に欠席したとすれば、まさに岸田総理のメンツは丸潰れ。総理も今回の電撃情報には大きな衝撃を受けていますが、情勢を見守るしか手はないというのが偽らざる実情です」
バイデン大統領はサミットまでに、デフォルト問題を解決することができるのか。岸田総理にとっては当分、眠れない日々が続くことだろう。