脱コロナで酒場が賑わいを取り戻す中、「運転代行」の人手不足が深刻化している。
実はコロナ禍の直撃を受けたのは、飲食店だけではない。飲食店の休業や時短営業によって、運転代行を利用する酔客も激減。1カ月の売り上げが9割減となる代行業者が続出し、業界全体でも3割近い業者が廃業に追い込まれたのだ。
その結果、代行で働いていた大量の運転手が離職。コロナウイルスの分類が2類から5類感染症に移行し、運転代行の需要が高まっても、復職に応じる者が少ないのに加え、運転手の養成には酔客への接遇のノウハウも含めて時間がかかるため、人手不足が解消されないのである。首都圏の郊外で運転代行を営む業者は、次のように人手不足の影響を明かす。
「最近は配車の要請から1~2時間待ちというケースも珍しくはありません。こちらがその旨を伝えると『そんなに待てないからいいや』と言って、あっさりと電話を切ってしまうお客さんは少なくありません。ほかの代行業者も状況は同じですから、そのまま車を運転して帰るんでしょうね。飲酒運転事故が増えないか、心配しています」
交通事故による年間の死者数は6年連続で最少を更新し、昨年の死者数は前年比26人減の2610人にまで減少した。最大の要因は飲酒運転に対する厳罰化にあるとされるが、運転代行の人手不足によって、再増加の懸念が浮上してきているのだ。
こうした状況を鑑みて、警察は厳しい対応に乗り出した。警察庁OBが指摘する。
「最も効果的なのは、飲酒検問による検挙です。警察庁は相次ぐ強盗事件を受けての危険物検問とともに、脱コロナ後の飲酒検問も併せて強化するよう、全国の警察に指示を出しました。もちろん、いつどこで検問を実施するかは秘中の秘。これまで検問が行われていなかった場所での、抜き打ち的な検問も大幅に増えていくはずです」
この際、全てのドライバーは「飲んだら乗るな」「乗るなら飲むな」を改めて肝に銘じるべきだろう。