欧州のサッカーは終盤を迎え、優勝争い、残留争いはもちろんのこと、CL(欧州チャンピオンズリーグ)出場権を懸けて、最後の最後まで激しい戦いが繰り広げられている。そこでひと足早く、今季の日本人選手の活躍を振り返ってみたい。
まず、日本代表で欧州5大リーグ(イングランド・プレミアリーグ、スペイン、イタリア、ドイツ・ブンデスリーガ、フランス)でプレーする選手だ。
最も活躍したのはプレミアリーグの三笘薫(ブライトン)と、スペインの久保建英(レアル・ソシエダ)の2人だろう。ともにレギュラーポジションを奪っただけでなく、チームの攻撃の中心となっている。しかも、リーグ日本人最多得点を更新するなど、多くのニュースを届けてくれた。
数多く日本人選手がプレーするブンデスリーガでは、鎌田大地(フランクフルト)、堂安律(フライブルク)、板倉滉(ボルシアMG)が、常に先発で試合に出続けた。特に鎌田は、日本人初の3試合連続ゴールを決めた。シュツットガルトでプレーする遠藤航、伊藤洋輝も先発で出場しているが、残念ながら残留争いに巻き込まれている。
フランスで目立ったのは、移籍1年目で先発を勝ち取った伊東純也(S・ランス)だ。数字的には物足りないが、下位に低迷するチームを引き上げた。
5大リーグで大きく期待を裏切ったのは、南野拓実(ASモナコ)だろう。リバプールから出場機会を求めてモナコに移籍したが、ゴールはわずかに1でベンチを温めることが多く、3月に日本代表メンバーからも外れた。このまま消えるのか踏ん張るのか、移籍1年目でいきなり正念場を迎えている。
その他のリーグでは、スコットランドリーグでセルティックの2年連続優勝に貢献した古橋亨梧、前田大然、旗手怜央や、ベルギーリーグで20得点の大台に達した上田綺世(セルクル・ブルージュ)がいる。しかし、スコットランドリーグのレベルやセルティックの強さを考えれば、結果を出して当たり前で、日本代表のレギュラーを目指すのであれば、早くレベルの高いリーグに移籍するべき。それは上田にも言えることだ。
残り数試合、レアル・ソシエダが4位を死守して来季、久保のCLデビューはあるのか。遠藤、伊藤のシュツットガルトが残留できるかなど、注目の試合はまだ残っている。
ストーブリーグに突入すれば、三笘、鎌田のビッグクラブ移籍はあるのか。上田、古橋、旗手などの5大リーグ移籍はあるのか。シーズンが終わっても、日本人選手の動向を注視したい。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。