先ごろ、またしても韓国で旧統一教会の合同結婚式があり、朝からワイドショーで大きく取り上げられていた。実はかつて、芸能界でも「合同結婚披露宴」なるものを開いたカップルがいた。むろんこちらは、勝手に決められたマッチングなどというものではなく、「どちらも披露宴をしていないから、一緒にやろうよ」と時任三郎が呼びかけたものだった。
「最初は冗談だと思ったけど、どうせ共通の友人が多いし、2度スケジュールを割いてもらうのも悪い」
と言ってこれを快諾したのは、真田広之・手塚理美夫妻である。そして91年4月13日、東京・渋谷のライブハウスに友人約350人を集め、この2組の合同結婚披露パーティーが開催されたというわけである。
時任が所属事務所の後輩で元女優の千佳夫人と結婚したのは、前年12月。2月22日にロケ先の埼玉県川越市で結婚発表記者会見を行った時任は、前年末にパラグライダー仲間とニュージーランド郊外の山に登った際のことを挙げて、
「満月があまりきれいだったので、みんなで『ここで結婚式をやろう』ということになって。簡素なものでしたが、でも俺たちにとっては本当の式だったと思います」
ただ、突然の結婚に「もしかすると、妊娠では?」との質問が出たが、
「それはないですけど、日夜励んでいます。近いうちに可能性はあるかと。出生率の低下もあり、社会に貢献するために…。理想は20人くらい」
顔を赤らめながら照れくさそうに微笑んだのだった。
さて、披露パーティーには、時任が出演する「ふぞろいの林檎たち」(TBS系)から中井貴一、柳沢慎吾ほかメンバーが勢ぞろい。一方、真田が出演する「太平記」(NHK)グループからは陣内孝則、柳葉敏郎らが出席。むろん、真田の親代わりである千葉真一・野際陽子夫妻も列席し、さながらオールスター夢の共演といったところである。
そんな中、「子孫繁栄」と記された紋付で登場した新郎2人がくす玉を割ると、中からも「子孫繁栄」の垂れ幕が。実はこの時、手塚はすでに妊娠6カ月で、時任の千佳夫人も妊娠3カ月。この「子孫繁栄」披露宴は笑いあり、涙あり、そして錚々たるメンバーによる生ライブありで、大盛り上がりの中、フィナーレにはビリー・ジョエルの「ザ・ロンゲスト・タイム」を全員で熱唱し、幕が降ろされたのだった。
しかし、そんな盛大なパーティーから6年後、真田夫妻はすったもんだの末、離婚を発表した。一方、時任夫妻は3人の子供に恵まれ、うち2人は芸能界で活躍。スピリチュアルカウンセラーやヨガインストラクターとして活躍する夫人との夫婦仲も、円満だと伝えられる。
ちなみに当時、時任は栄養ドリンク「リゲイン」のCMに出演して「24時間、戦えますか!」というフレーズが流行語大賞にノミネートされた。会見で語った「子供は20人」はさすがに難しかったが、文字通り「24時間男」の面目躍如となったわけである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。