阪神タイガースが甲子園球場での広島戦(5月21日)に4-1で勝利し、今季最多の貯金11となった。
この日の阪神の先発投手は才木浩人。不振のため2軍落ちしていたが、4月30日以来となる1軍登板で6回2/3を投げて被安打5、7奪三振、無四球で自責点0(失点1)と、先発としての役割を十分に果たし、今季2勝目を挙げた。
打ってはマスクを被った梅野隆太郎が、2本のタイムリーで3打点。梅野のタイムリーは3月31日の今季開幕戦初打席以来だ。
3カード連続勝ち越しの阪神は、ここ10試合を9勝1敗と絶好調。2位DeNAとのゲーム差は2に開いた。スポーツ紙デスクが解説する。
「エースの青柳晃洋が背信投球続きで、とうとう2軍落ちする中、才木の復活は大きい。開幕からずっと打てなかった梅野にも、ようやく当たりが出てきました。サヨナラ勝ちした前日の試合後、岡田彰布監督からは『別に負けてもいいんやけどな、明日』と冗談が飛び出るほど余裕がありましたね。今季の阪神は連敗が少ない。3連敗以上がないのは、12球団で阪神だけですからね」
阪神はなぜ連敗しないのか。5月21日放送のNHK「サンデースポーツ」に出演した野球解説者の落合博満氏は「岡田監督が守り勝つ野球に徹していることが全て」と言う。
阪神の守備で、昨年から大きく変わったのが、内野陣の固定だ。昨年は内野の4つのポジションでそれぞれ5~10人の選手が起用されているが、今年は中野拓夢がセカンドでの全試合出場をはじめ、ファーストの大山悠輔とサードの佐藤輝明も、ポジション固定。ショートもここのところ、木浪聖也に固定されつつある。
「内野守備の安定が、阪神が落ち着いた野球をやれている大きな要因」と落合氏は言う。阪神の二遊間の失策は昨季32あったが、二塁・中野と遊撃・木浪の合計失策数はここまで、わずか5。1シーズンに換算してもおよそ17と、昨季の半分程度になる。内野手の安定が、投手や打撃に与える影響は大きい。
加えて昨季は外野を守ることも多かった佐藤について、落合氏は「(昨年は)じゃあ、今日はどこ守るんだというものが(今年は)自分の中で解消され、シーズン通してサード守るってことで、打つことに専念できる」と、打撃にも好影響を与えている点を指摘した。
守備力の向上が支える岡田阪神の好調ぶり。先発投手陣は西勇輝、伊藤将司と昨季までの実績がある2投手に加え、「虎の村神様」こと村上頌樹、大竹耕太郎といった「新戦力」も好調をキープ。この日、好投した才木も加え、青柳不在のダメージを感じさせない安定ぶりである。打撃陣も好調を保っており、しばらく大型連敗の心配はなさそうだ。
落合氏が「今の阪神はいい守りの野球をやっている」と語るように、阪神はガラリと変わった守備力を武器に、5月30日から始まる交流戦に臨めそうだ。
(石見剣)