ミュージシャンのライブにおける「注釈席」とは何か、わかるだろうか。松任谷由実デビュー50周年ライブ(5月13、14日)の「注釈席」が、ちょっとした騒動を起こしたのだ。
「これは客席からステージが見えづらいことを前提に発売するチケットのことです。一般にはなじみの薄い言葉ですが、つまりはワケありチケットですね」
そう解説するのは、音楽業界関係者である。では、ユーミンの騒動とはいかなるものか。
「注釈付きのチケットを購入した人が『見えないじゃないか』と不満をあらわにしたのです。これに『最初からわかっていたことではないか』『だったら注釈付きを買うな』との反論が。全く見えないのはナンセンスですが、本来はどこの席でどんな注釈がついているのか、という説明があってもいいとは思いますね」(前出・音楽業界関係者)
機材席を開放したり、ステージサイドの見切り席だったり、というのはよくあることで、中には「ステージ裏」という、かなりいわく付きのチケットも。
ユーミンのライブはアリーナ中央に海賊船のステージが設けられ、注釈付きでなくとも船尾部分の席からはよく見えなかったという。それでも「ユーミンの声を同じ空間で聴けるだけでいい」というファンは存在する。
「最近はK-POPのコンサートで注釈席が多いですね。ステージが見えない、音も反響してよく聴き取れない、ということがあるようですが。アリーナの前方でよく見える席と、全く見えない注釈席が同じ値段だったら、腹が立ちますよね。日本は同じ値段で売ることがほとんどで、海外のコンサートでは注釈付きは安く、見やすい席は高額になる。日本は不公平な面がありますね」(音楽ライター)
6月2日からは、ユーミンのライブと同じく「ぴあアリーナMM」(横浜市)に、BTS のソロメンバー・SUGAが登場する。一般席も注釈席も異例の速さで即完売したというが、ファンからはやはり「注釈席とアリーナ席が同じ値段という日本のルールは好きになれない」という不満の声も。
ユーミンの注釈席をめぐっては、スタッフが謝罪する事態に発展した。同じようなことにならなければいいのだが。