NHKのBSプレミアムとBS4Kで再放送中の2013年上半期朝ドラ「あまちゃん」。5月25日に放送された第46回では、北三陸駅長の大向大吉(杉本哲太)がカラオケで「ゴーストバスターズ」以外の曲を歌うシーンが放送された。
この日は主人公の天野アキ(能年玲奈)と、彼女が恋する先輩・種市浩一(福士蒼汰)の恋模様が描かれた。お座敷列車への改装を進める車両の前で焚き火をしながら語り合う、アキと種市。アキは三島由紀夫の小説「潮騒」、あるいは山口百恵と三浦友和の映画「潮騒」(1975年)でお馴染みのシーンのように、焚き火を飛び越え、種市の元へ飛び込もうとする。
「シーンが切り替わると、スナック『梨明日』では、大吉がカラオケマイクを手にしていました。『はいはい、ゴーストバスターズね』との声に大吉は『バカ言うな。1984年といえばこれがあるべ』。かかったのはヴァン・ヘイレンの『ジャンプ』でした。焚き火の上を飛ぼうとするアキのシーンに合わせて、大吉が『ジャンプ!』と叫ぶシーンには思わず笑ってしまうと同時に、懐かしい選曲に胸が熱くなった視聴者もいたのでは」(テレビ誌記者)
音楽ライターが解説する。
「アメリカのハードロックバンド、ヴァン・ヘイレンの『ジャンプ』は、彼らにとって最大のヒットシングルで、84年の2月から3月にかけてビルボードのシングルチャートで5週連続1位を記録しました。大吉が言う通り、84年を代表するヒット曲であり、日本でも大ヒットした。ところが『ジャンプ』が収録されたアルバム『1984』は、全米2位止まり。なぜかといえば、マイケル・ジャクソンのあの『スリラー』が、ずっと1位に居座っていたからです。ちなみにヴァン・ヘイレンのギタリストでるエディ・ヴァン・ヘイレンは『スリラー』の大ヒット曲『今夜はビート・イット』でギターソロを弾いています」
アメリカではこの年「フットルース」「フラッシュダンス」など映画のサウンドトラック・アルバムのヒットが多く、大吉が歌う主題歌でお馴染みの「ゴーストバスターズ」も、ビルボードのシングルチャートで3週連続1位を記録している。
邦楽だけでなく、80年代の懐かしい洋楽ネタも飛び出した「あまちゃん」。ドラマ本編だけではなく、随所に散りばめられた懐かしネタをチェックするのも、楽しいドラマなのである。
(石見剣)