秋の臨時国会を前に断行された安倍政権発足後初めての内閣改造は、「女性登用」と「土壇場のサプライズ」が大きなニュースとなった。だがコトここに至るまで、官邸には謀略、対立、スキャンダルが飛び交い、もはやお笑いネタのようなオフレコ事件が続発。「ダメよ~、ダメダメ」と言われても、国民のために全部バラしてもいいじゃないの~。
01年に小泉政権が発足した時と同じ──。9月3日の内閣改造の目玉はまず、過去最多となる「5人の女性閣僚」の登用だった。最も注目を集めた小渕優子経済産業相(40)に関しては当初、幹事長起用説が流れていた。全国紙政治部デスクが解説する。
「小渕氏は中国との緑化事業に協力するなど、親中派だった父親(故・小渕恵三元総理)の影響を受けているほか、日韓議員連盟の幹事をしています。その父親が築き上げた日中関係、さらには日韓関係を、安倍晋三総理(59)は圧力外交でブチ壊した。極め付きが、昨年末の“ドタキャン事件”です」
小渕氏が超党派訪中団の団長として中国滞在中の昨年12月26日、安倍総理は敢然と靖国神社を参拝した。これに反発した中国は劉延東副首相が、予定されていた会談をドタキャン。さらに全日程がキャンセルとなって面目丸潰れの小渕氏は、早期帰国を余儀なくされたのだった。
「帰国後、小渕氏は仲のいい女性議員に怒りと不満をブチまけていました」(自民党関係者)
が、安倍総理はそんな小渕氏の心情などおかまいなし。ジャーナリスト・森省歩氏が明かす。
「来年9月の自民党総裁選で再選を果たし、長期政権樹立の野望を持つ安倍総理にとって、小渕氏が所属する反安倍勢力の額賀派は目の上のタンコブ。他の反安倍勢力と結託されるとまずい。そのために小渕氏を利用する必要がありました」
安倍総理の出身派閥である町村派(旧福田派)は、額賀派(旧田中派)とはかねてから緊張関係にある。とはいえ、入閣要請まで突っぱねる余裕はないだろう、と安倍総理は考え、取り込むべく動いた。小渕氏が将来の自民党総裁有力候補と言われることにも「次の総裁選に出るほど円熟していないし、次の次だろう。それまでは抑え込めた」とニンマリした様子だったという。森氏が続ける。
「小渕氏に入閣を受諾させた背景には、最初は総務相という“餌”を見せたことにあります。『総務相で調整しています』とささやかれ、蓋を開けてみれば経産相だった。額賀派からは『いやぁ、厳しいな』という本音が聞かれます。そもそも彼女が経済政策に明るいという話は聞いたことがありませんし」
しかも経産相は原発問題を扱う省庁のトップであり、今後、原発再稼働問題で火ダルマになることは明らかだからだ。政治ジャーナリスト・安積明子氏も言う。
「ウハウハなのは経産官僚たちです。『意のままに操れる』と」
小渕氏の足を引っ張るのは安倍総理だけではない。実は、“怪文書”騒動にも見舞われていたのだ。
「内容は、TBSドラマプロデューサーとしてヒット作を連発した夫に関するもの。『ジャニーズ事務所との関係が深く、裏金をもらってキャスティングの便宜を図った。ホテルオークラの部屋でたびたびモデル級の美女をあてがわれるなど接待も受け、銀座のクラブではジャニーズのツケで飲むことができる』といったことがつづられており、真偽はともかく、夫のスキャンダルをネタにしてイメージダウンを狙った卑劣な仕業と思われます」(永田町関係者)