こんなはずではなかったのに──。安倍総理の後悔と焦りは今、頂点に達している。内閣改造は大失敗に終わり、次から次へと閣僚の醜聞、疑惑をたれ流して袋叩きに。発足からわずか2カ月で「ドミノ崩壊」の危機を迎えている安倍政権からは、断末魔のもがきが聞こえてくるのだ。
思えば9月3日の内閣改造直後から、ドミノ崩壊の兆候は出ていた。山谷えり子国家公安委員長(64)が、ヘイトスピーチでトラブルを起こしている在特会の関係者と写真に収まっていたり、高市早苗総務相(53)にネオナチ団体の代表者と議員会館で記念撮影に応じていた事実が明るみに出たり。
閣僚のスキャンダル発覚が本格化したのは、10月7日の参院予算委員会で松島みどり前法相(58)が「うちわ配布」問題を追及されてから。立て続けに、安倍内閣最大の目玉閣僚だった小渕優子前経産相(40)の政治資金不正疑惑がハジけると刑事告発までされた2人はW辞任に追い込まれた。
「小渕氏は政治資金で下着やネギ、ベビー用品を購入するなど、公私混同も甚だしい支出のほか、関連政治団体が開催した観劇会を巡って、5510万円もの収支のズレが生じていることがわかった。その後も、選挙区内で小渕氏の写真入りラベルが貼られたワインやカレンダーを配っていたことも発覚し、寄付行為を禁じた公選法に抵触する可能性が浮上しています」(全国紙政治部デスク)
まさに「女難の相」に見舞われた安倍晋三総理(60)。自民党関係者が言う。
「松島氏は同じ派閥(清和会)の森喜朗元総理(77)が大臣にとゴリ押ししてきただけで、安倍総理は彼女のことが生理的に大嫌いだった。かつては『顔を見ただけでじんましんが出そう』という話をしていたほどです。内閣改造における身体検査は全て、安倍総理が菅義偉官房長官(65)に任せ、内閣情報調査室や官邸スタッフが調べていました。小渕氏の調査結果も『大丈夫だと思います』と菅氏が報告したそうですが、このありさまに。安倍総理は菅氏に不信感を持ち始めています」
だが閣僚のスキャンダルドミノは食い止められず、たれ流し状態に。江渡聡徳防衛相(59)が代表の資金管理団体が、政治資金規正法で禁止されている本人への350万円に上る寄付を行っていた件では、「新報道2001」(フジテレビ系)に出演した民主党・細野豪志氏(43)が「政治団体から個人に献金などというのは聞いたことがない」と猛口撃。
その後も、小渕氏後任の宮沢洋一経産相(64)が就任わずか2日で、資金管理団体が「SMバー」に政治活動費を支出していたことが大問題となり、宮沢氏が「行ったのは秘書ら。私は行っていない。そういう趣味はない」と弁明に躍起になるハメに。
さらに塩崎恭久厚労相(63)には地元老人ホームへの口利き疑惑が浮上、西川公也農水相(71)は和牛商法事件で一審有罪判決を受けた安愚楽牧場から献金を受け取り、親族企業に約100万円の政治資金を流していた。いや、まだある。望月義夫環境相(67)は政治資金収支報告書に660万円の虚偽記載、有村治子行政改革担当相(44)は脱税で罰金判決を受けた企業から120万円の献金を受け取っていたり──。
こうして安倍政権は内閣改造からわずか2カ月余りで、辞任した人物も含め、閣僚21人のうち約半数の10人がスキャンダルと疑惑にまみれるという前代未聞の醜態をさらしたのである。