9月3日に発表されると言われる内閣改造とそれに伴う党人事。注目は、早々に幹事長解任が報じられた石破茂氏の処遇だ。来年9月の総裁選に向け、最大のライバルの封じ込めを狙う安倍総理。無役となるか、子飼いとなって総理の夢を諦めるか‥‥追い込まれた石破氏が繰り出す逆襲の一手は!?
安倍晋三総理(59)による内閣改造と、自民党役員人事。これによって石破茂幹事長(57)は、新たに設けられる安全保障法制担当相(以下「安保相」)を打診されている。
政治部記者が語る。
「石破さんの安保相起用を最初に報じたのは、7月9日の読売新聞です。この情報は官邸サイドから流されました。安倍さんの側近たちのリークで石破安保相の流れを作ったのです。この時点で、官邸内では石破さんの幹事長解任はほぼ決定的だったということです」
側近たちの動きと呼応するように、安倍総理は7月29日までに石破氏に安保相への打診を行った。そもそも2人は、12年の自民党総裁選で一騎打ちを演じた関係だ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこの人事の意味を解説する。
「選挙を取りしきる幹事長職は石破さんというライバルを“牢獄”に閉じ込める意味がありました。選挙で負ければ責任を取ってもらう、勝っても手柄は安倍さんになりますから。安保相は安倍さんが石破さんに用意した“第2の牢獄”です。安保の法整備は審議も含めて1~2年かかると言われ、来年の通常国会では終わりません。つまり、来年9月の総裁選に反旗を翻して、出られないようにする封じ込めポストなのです」
安倍総理が報道機関を利用して、石破氏を土俵際に追い込んでいることを知った菅義偉官房長官(65)は、
「何で(安倍総理は)ここまでするかねぇ」
と、そのえげつないやり方を嘆いたという。
現在、態度をはっきりと表明していない石破氏だが、ある自民党議員はこう予想する。
「官邸筋では受けると読んでいますよ。総裁選に出たって石破さんに勝ち目はないですから。滋賀県知事選で敗北した責任に加え、10月の福島、11月の沖縄の両県知事選も準備が遅れて非常に厳しい状況で、本来、更迭されてもおかしくないところです。石破さんにとって大好物の安保専門のポストを渡した温情人事ですよ」
確かに滋賀を落とした総理の怒りは相当なものだったようで、石破氏に向かってこう叱責したという。
「大丈夫だって言ったじゃないですか!」
ポストを蹴っての無役か、牢獄入りかの岐路に立たされた石破氏だが、予想に反して周囲にこう漏らしているという。
「入閣の話をのんだら、俺の政治生命は終わりだ」
なぜ石破氏が「政治生命」を考えるほど思い詰めるのか──その理由を知るには秋以降から来年にかけての安倍政権のロードマップを考えなければならない。