今年の夏は河野太郎デジタル相にとって一段と厳しい夏となりそうだ。
それを如実に示す具体例が2つある。
ひとつは、毎日新聞の最新世論調査(7月22、23日)でマイナンバー問題解決に河野氏に期待するか、しないかという質問。これに実に51%が「期待しない」と答えている。「期待する」はたったの33%だ。霞が関官僚が言う。
「河野氏といえば常識破りの動きで悪い慣習を打破する政治家のイメージで人気がありましたが、最近はその言動から、マイナ問題でもさほど期待できないと見ているようなんです」
もうひとつは、テレビ朝日の世論調査(7月8、9日)。以前の河野氏は「ポスト岸田」の調査となると常にトップに立つ勢いだったが、それが第3位に後退したのだ。選挙アナリストが解説する。
「テレ朝が前回『ポスト岸田』を質問した調査は昨年暮れ。その時は23%で河野氏がトップ、2位に石破元幹事長で18%、第3位に小泉進次郎元環境相が13%で続いていました。それが今回、小泉氏(16%)、石破氏(15%)に次ぐ13%の3位。小泉氏の躍進というより河野氏の凋落ぶりが際立っているんです」
その理由を前出の霞が関官僚が分析する。
「マイナンバーと健康保険証を来年秋までに一体化することに国民の7、8割が不安を抱え、『延期』『慎重論』が圧倒している。そんな中で当然、来年秋までに必ずスタートさせると豪語する河野氏に国民はドン引きしている状態。それが『ポスト岸田』レースから脱落し始めている原因でしょう」
しかも岸田文雄首相がここへ来て、健康保険証を来年秋に原則廃止する方針について延期を示唆したことで、河野氏は完全にハシゴを外された格好。そうした中、問題は9月中旬とされる内閣改造だ。自民党関係者が言う。
「内閣に残ればさらにマイナトラブルで火だるまになる可能性もある。一方、内閣から去ればマイナ問題に対処できず『クビ』になったと言われる。どっちに転んでも河野氏はイバラの道ですよ」
それでも河野シンパからはこんな声が聞こえてくる。
「ここは岸田首相に直談判してでも閣内に残り最善を尽くすべき。マイナ一体化は誰がやってもかなりの難問。そこを河野流で全力投球し利便性を高められれば総裁選にも新たな道は必ず開ける」
果たしてどう動くのか。
(田村建光)