韓国で「アバター」を超える観客を動員した大ヒット反日映画があるという。しかし、その内容はお粗末そのもの。あの国だけに集客数にも疑問符が付いた。
韓国で8月に公開され、わずか1カ月で1600万人動員の記録を立てた映画「鳴梁〈ミョンリャン〉」。韓国の軍人である李舜臣〈イ・スンシン〉の戦いをテーマにしたものだ。
豊臣秀吉は1592年に文禄の役、1597年には慶長の役という朝鮮出兵を開始した。李舜臣は朝鮮水軍を率いて、秀吉水軍と海上戦を戦った将軍だ。
映画のストーリーは、その中でも伝説となった「鳴梁海戦」である。李将軍は潮流の激しい鳴梁海域に秀吉水軍を誘い込み、一撃を加えたのだ。船の数については諸説があるものの、330隻という圧倒的戦力で攻め込む秀吉水軍に対する朝鮮水軍はわずか12隻。その戦力差を恐れて尻込みする朝鮮軍人たちを前に李舜臣は勇ましく宣言して戦いに向かうのだ。
「死ぬと思ったら負けだ! 殺されたくなかったら恐怖に勝て!」
映画を実際に観た、日本の歴史にも詳しい韓国人ジャーナリストが語る。
「李舜臣の物語はこれまでテレビや、映画などで何度も映像化しています。日本で坂田金時が『金太郎』というおとぎ話で語り継がれているように、韓国では子供たちにも聞かされる偉人です。しかし、以前の作品に比べて、この映画はダメですね。チャンバラばっかりしていて、歴史考証がムチャクチャで人間ドラマが薄い。喜ぶのは若者や子供ばかりで、大人はみんな『つまらない』と言っています」
このジャーナリストが指摘するのは、当時の船。すでに「亀甲船」と呼ばれる船が開発されており、それが1隻もないのはおかしいという。何よりトンデモない中身があった。
「李舜臣は最後の戦いで、流れ弾に当たって死に、それが感動を呼ぶのです。ところが、この映画では死なないんですよ。また主人公が成敗する秀吉軍の中に、『風林火山』の旗がありました(笑)」(前出・ジャーナリスト)
もちろん「風林火山」は戦国武将である武田信玄の旗である。1582年に武田家は滅亡しているので、ここにいるはずがない。
秀吉軍を蹴散らした李舜臣は「反日」の象徴として、韓国人から尊敬されている。博物館には、彼が使ったとされる長剣が「国宝」指定されて飾られているが、今年8月、中央日報がこう報じて、思わぬミソをつけたのだ。
「李舜臣の長剣に正体不明の赤い塗料」
塗料の正体はなんとペンキ。当時に存在するはずもなく、長剣の素性が疑われてしまった。「反日」のおかげで異例の大ヒットとなった「鳴梁」は、日本での公開も予定されているという。
「韓国の全人口は5000万人ですよ。1600万人は盛りすぎでしょう。日本で公開しても日本人にウケるとは思えないですね」(前出・ジャーナリスト)
愛用の長剣同様に、その評判も剥げかかっているお粗末な状況だ。