「GIII向日町」◎太田竜馬/○石原颯/▲稲垣裕之/△根田空史/柴崎淳/佐藤一伸/山下一輝/中井俊亮/畑段嵐士/小森貴大/朝倉智仁/阿部将大
S2選手がGIII戦を好走しているのは、相応の脚力が備わってきたからだ。
「GIII向日町」(6月8日【木】~11日【日】)は、この直後に行われるGI岸和田高松宮記念杯(13日~)に出走がかなわなかった選手による4日間になる。地元をはじめ西日本勢の選手層が厚く、東日本勢は苦戦を強いられることになりそうだ。
ここに名前があるだけで驚かされる太田竜馬にとって、負けられないシリーズになる。18年ヤンググランプリの覇者であり、記念優勝に、さらにGIでは2度のファイナリストと、輝かしい戦歴を誇る。今年はやや不振も、石原颯─太田─山下一輝で並ぶ中四国ラインの結束は固い。二段駆けから抜け出しを決める。
400バンクでは直線が短い向日町だけに、石原の逃げ切りも警戒しておきたい。先行力は若手機動型ではトップクラスで、マイペースから押し切りを狙う。
あとは、好調な畑段嵐士の後位でチャンスを伺う稲垣裕之と、前でやり合えばダッシュ力のある根田空史が台頭するとみた。
近畿勢の総帥である稲垣は、京都の後輩・畑段に小森貴大、中井俊亮と番手につけられる動ける選手がそろう。かつて京都王国の主力の1人。今も熱烈なファンが多いGIを勝っているビッグスターだけに、先行の頑張りしだいでは勝ち負けしてもおかしくはない。
【大穴この1車】黒沢征治(埼玉・113期)。
前走の函館(〈1〉〈1〉〈7〉)の2走目2万6860円は、準決勝に乗った2月GIII伊東2次予選2着の1万円超以来の万車券だった。記念では1月大宮記念(〈9〉〈3〉〈5〉〈3〉)の2走目に14万円超を演出しているが、今年の万車券はこの3本だけ。西日本では意外に人気になり、好走してもそれほど高配当になっていないが、それも対戦相手による。先行より、まくりに回るレースをターゲットにしたい。
【狙い目の伏兵3人】
7月に1班に返り咲く窓場千加頼(京都・100期)は、前々走のFI大垣を完全優勝し、その前後の記念で準決勝に進出と好調だ。決勝戦に勝ち上がってもおかしくない。
久田裕也(徳島・117期)は1月に特昇後、2度目の記念だった前々走の宇都宮を(〈4〉〈4〉〈3〉〈9〉)と好走した。それまでS級戦でも準決勝止まりで、ここは1次予選突破が目標になる。
中嶋宣成(長野・113期)は宇都宮記念(〈1〉〈8〉〈2〉〈8〉)まで、記念の3場所で2度ずつ車券に絡んでいる。初戦で1、2着すれば勢いに乗る。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。