古代ギリシアの哲学者プラトンが著書「ティマイオス」「クリティアス」の中で記述した「アトランティス」は、小アジアとアフリカ大陸を合わせたような、広大な面積を持つ大陸のことである。アトランティス大陸で暮らす人々は高度な文明を持ち、現代に匹敵するような高い技術力を有していたとされる。
ところが、そんなアトランティス大陸は今から約1万2000年前、大地震による津波と洪水のため、一夜にして海底に沈んでしまった。それが今も語り継がれる、アトランティス大陸の伝説だ。
プラトンの著書によれば、アトランティス大陸は大西洋に位置していたとされるが、1968年にはバハマのビミニ島沖で、人工的に作られたとはものとはとても思えない、600メートルに及ぶ石畳状の岩が発見されたことで、諸説入り乱れ、謎が謎を呼ぶ事態になった。
実は日本にも、海に沈んだ古代文明の軌跡ではないかと、世界の地質学者の議論の的になっている場所がある。それが、沖縄・与那国島付近の海底に眠る巨大な構造物「与那国島海底地形」なのだ。地質学の研究者が解説する。
「この海底地形は1986年に地元ダイバーにより発見されたもので、水深25メールの場所にあり、高さは8階建てのビルほど。頂上部はサッカーフィールド丸々一面分あり、広場から下は階段状の構造をしている。その光景はまさに、古代文明に見られる階段ピラミッドそのものです。ただ、自然地形説も根強く、中立的立場として長い間『海底遺跡』ではなく『与那国島海底地形』という名称で呼ばれていた。21年3月にイギリスBBCが『日本のミステリアスな海底都市』と題し、特集を組んで放送しました。それをきっかけに『日本のアトランティス』として、世界の地質学者の目が注がれているのです」
夏を迎えると、世界中からダイバーたちが訪れる。いまだ謎のベールに包まれた「日本のアトランティス大陸」は、海底でミステリアスな異彩を放っている。
(ジョン・ドゥ)