シリーズ最新作にして最後の冒険を描く「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が、いよいよ6月30日から全国で公開される。同作は、考古学者で冒険家の主人公ジョーンズが、秘宝を求めて世界中を飛び回りながら危険や謎に立ち向かう、不朽のアドベンチャー・シリーズだ。
そんなシリーズの中でも、前作「最後の聖戦」から実に19年ぶりの公開で、最終興行収入は全世界で7億8000万ドルと、シリーズ最高を記録したのが、4作目の「クリスタル・スカルの王国」(2008年)である。
物語は、冷戦時代の1957年にジョーンズがクリスタル・スカル(水晶で作られた人間の頭蓋骨)をめぐり、ソビエト連邦と争奪戦を繰り広げる、という壮大なアクション・アドベンチャーなのだが、実はこのクリスタル・スカルは実在する。それが1920年代にイギリス人の探検家ミッチェル・ヘッジズらが発掘したことで知られる、「ヘッジ・スカル」と称される水晶ドクロである。古代文明研究家が解説する。
「1927年、ヘッジと彼の養女アンナは、アトランティス文明の遺跡を求めて、中米ホンジュラスの古代マヤ文明の遺跡ルバントゥンを調査していたのですが、そこでアンナが、遺跡の祭壇下から光が漏れていることに気付いた。掘り出してみると、そこに置かれていたのが、水晶でできた人間の頭蓋骨だったというんです。この3カ月後には、やはり水晶でできた下顎が見つかった。のちの調査によって、両方とも1個の水晶からできていることがわかりました。当時の技術水準から考えて、あまりにもその造作が精巧とあって、アトランティスの超文明により作られたオーパーツ(時代や場所にそぐわない出土品)として有名になったんです」
しかもこの水晶ドクロには未来を予言する力があるとして、世界に現存する13個の水晶ドクロを揃えることができれば人類の叡智の扉が開かれる、という信仰が一気に広まった。
「この水晶ドクロは、大英博物館やパリの国立博物館などが所有しています。中には機械による研磨痕が見られることなどから、近代の作品ではないか、とされるものも。ヘッジ・スカルについても、発見者とされるアンナが2007年に100歳で亡くなるまで私蔵していたため、様々な憶測が囁かれています。むろん現在も、マヤ文明やインカ帝国といった中南米の考古遺物であると考える信仰者は少なくありません。最後の『インディ・ジョーンズ』を見ながら、世紀のオーパーツに思いを馳せてみるのもいいかもしれません」(前出・古代文明研究家)
一説には、水晶ドクロを作るためには、人力による手作業で300年以上かかる、とする見解もあるというが…。壮大なロマンを感じるばかりだ。
(ジョン・ドゥ)