自民党・小渕優子組織本部長のパーティーが6月14日夜、都内のホテルで開かれ、挨拶に立った森喜朗元総理は、
「小渕さんを華やかな舞台にもう一度、登場させたい」
と語った。次の内閣改造・党役員人事で、小渕氏が主要な役職に就くことに期待感を示した形だ。月刊誌「文藝春秋」の名物コラム「赤坂太郎」は、小渕氏が同じ派閥の茂木敏充氏に代わって幹事長の座に就く、との見方を示している。
森氏は挨拶で、6月11日に死去した青木幹雄元官房長官にも触れ、
「小渕さんが飛躍した場所に座ってから、逝きたかっただろう。心残りだったと思う」
小渕氏は政治資金規正法違反事件をめぐり、2014年に経済産業相を辞任して以降、主要な役職には就いていない。
この時の、東京地検特捜部による後援会事務所などの家宅捜索で、会計書類を保存したパソコンのハードディスクが破壊されるなど、露骨な隠蔽工作が行われ、検察サイドの心証を悪くした。破壊された複数のハードディスクにはドリルなどの工具で穴をあけた形跡が見つかり、小渕氏は「ドリル優子」と陰で呼ばれるようになった。
それから10年近くが経過し、ようやく「ドリル優子」のイメージも薄れてきたことで、表舞台に復帰してもいいということなのかもしれない。岸田文雄総理にしてみれば、総理の座を狙う茂木氏を幹事長に据え続けると、いつ寝首をかかれるか分からない。それに比べれば、小渕氏は御しやすいと映っているのかもしれない。
もっとも、ある閣僚経験者が言うには、
「たとえ森さんらが父親の小渕恵三元総理の次女だからと可愛がっていても、政治家としての小渕さんの能力は、茂木さんとは比べものにならないほど劣っている。女性という華やかさだけで幹事長に据えると、自民党はとんでもないことになるよ。都合が悪くなると、再びドリルで書類に穴をあけてしまうかもしれない」
岸田総理は自ら「爆弾」を設置することになるのか。