大阪市西成区の中央通商店会で6月27日に火災が発生し、70代と80代の男女が救急搬送される事態になった。現場は大阪メトロ岸里駅から西に延びる、閉鎖した店舗も多くあるアーケード街だ。
近年、関西を中心に、老朽化した建物や商店街の火災が問題視されている。2021年には大阪・お初天神近くの飲食店で出火し、約360平方メートルが延焼した。
2021年に70年の歴史に幕を下ろした、尼崎の旧花街「かんなみ新地」。現在は旧オーナーらが経営する飲食店が軒を連ねているが、昨年6月には市が新地一帯の土地建物を取得し、更地にした後に売却すると発表している。かんなみ新地の旧オーナーが言う。
「置屋が閉鎖となり、女の子がやめた後に市の職員が来て、2階にあったベッドやマットレス、女の子の衣装などを全て処分しました。2階に続く扉には、杭を打って封鎖するよう指導されました。営業を続けさせない意味もありましたが、防火指導として来ていたようです。閉鎖後も放火の恐れがあるからと、警備員がしばらく見守りをしていましたね」
神戸の阪神元町駅地下に存在する「有楽名店街」も、安全上の問題から閉鎖が決定した地下街のひとつだ(写真)。ここで営業するスナックのママが言う。
「避難用階段が確保できないなどの安全上の問題から、火災時など大きな事故につながる危険性があるとして、10年前に閉鎖が決定しました。5年前から各店舗が明け渡しを命じられ、ウチの店も今年8月に立ち退きが決まっています。現在、営業しているのは6~7店舗ほどですね」
閉鎖が決定するまでは、50店舗ほどの飲食店やスナックがあったという。
防火上の問題とはいえ、こうして昭和の風景が次々に消えていくのを見て、なんとも寂しい気持ちになるのであった。
(カワノアユミ)