兵庫県尼崎市にある歓楽街「かんなみ新地」が一斉閉店したと報道されてから、もうすぐ1年が経つ。かんなみ新地は遊郭として70年前から営業を続けていたが、飲食店の登録で女性従業員による性的サービスを続けていた。
昨年の閉鎖以降、しばらく空き家状態が続いていたが、その後、置屋のオーナー達が業態を変更。現在は5、6軒ほどの飲食店やスナックとして営業している。明るいうちから開けている飲食店もある中、通りを歩くとソーキそばののぼりが立っていたり、BEGINの音楽が聴こえてきたりと、どこか沖縄を感じさせる雰囲気なのだが…(写真)。
「尼崎は戦前から、多くの沖縄出身者が出稼ぎで来ていたエリア。若い人はあまり見かけなくなりましたが、中高年は今も住んでいるんです。かんなみ新地でも沖縄出身のオーナーが多く、沖縄コミュニティーとしてつながりは強いし、皆の仲がいい。この辺りに住むウチナーンチュ(沖縄人)が飲みに来てくれますね」(かんなみ新地のスナックママ)
今では女性客も増え、かつての色街の名残はすっかり影を潜めている。だが、激動はさらに続く。今年6月、尼崎市がかんなみ新地一帯の土地建物を取得し、更地にした後に売却すると発表したのだ。跡地に何ができるのかは不明だが、周辺の治安を不安視する声もあるという。地元住民が証言する。
「置屋が営業していた頃は常にガードマンが見回りをしてたけど、今は深夜になると通りは真っ暗で、人気もない。近くに住む飲み屋の女の子からは『置屋が開いていた頃の方が安心だった』という声も聞きます。営業していると勘違いして、酔っ払いが深夜にウロついてる姿をたまに見かけることもありますね」
課題を残す色街の先行きはどうなるのか──。
(カワノアユミ)