野球ファンのみならず、この天才に驚かされない日はない。打ちも打ったりの6月も終わりにさしかかり、現在、本塁打と打点がリーグ1位の大谷翔平に、またもや世界がザワついている。絶好調のバッティングの先にクッキリと姿を現したのは、誰しもが憧れるあの伝説の称号なのだが‥‥。
ア・リーグ西地区3位と健闘するエンゼルスにおいて、主に2番を務める今季の「打者・大谷翔平」(28)。「2番最強打者理論」が一般的なMLBで、その称号に恥じない打棒を発揮しているのは周知のとおりだ。
6月23日の時点で打率は2割9分2厘3毛。これはア・リーグ10位の成績だ。そして本塁打24本、打点58は押しも押されもせぬリーグトップの数字である(以下、成績はすべて23日時点)。気の早いマスコミは、大谷の「メジャー三冠王」について可能性を言及し始めているが、
「MLBでは12年のミゲル・カブレラ(40)=タイガース=が最後の三冠王。しかもそのカブレラの前は67年のカール・ヤストレムスキー(83)の時代までさかのぼります。日本では昨年、村上宗隆(23)が三冠王を獲りましたが、67年以降では村上を含め6人の選手が3冠王を獲得している。いかにメジャーで三冠すべてを獲るのが至難の業か、ということを物語っています」(MLB記者)
昨季はア・リーグ新記録の62本塁打など打ちまくり、リーグMVPを大谷から奪ったヤンキースの主砲、アーロン・ジャッジ(31)ですら、首位打者を獲得できずに本塁打と打点の二冠にとどまった。それを思えば、まだ7月とはいえ、三冠王を視界にとらえた大谷が、いかにすさまじいかは明らかだろう。
現役時代はプロ野球史上最高のスイッチヒッターと呼ばれた野球評論家の松永浩美氏は、現状の大谷をこう評する。
「6月13日(日本時間、以下同)からのレンジャーズ4連戦と、17日からのロイヤルズ3連戦。この1週間の7試合で大谷は二塁打2本、本塁打6本、四死球10を記録しました。同様の記録を過去に達成したのはミッキー・マントル(95年没)とテッド・ウィリアムズ(02年没)だけで、2人とも三冠王を獲っている。そう考えれば、大谷も三冠王の条件をクリアしている、と言えるでしょう」
松永氏が引用するデータは、エンゼルス広報担当者のTwitterでアナウンスされたもの。身内びいきで算出されたデータと言えなくもないが、スイッチヒッターとして今も最多記録の536本塁打を放ったマントルと、MLB史上最後の4割打者であるウィリアムズという、レジェンドだけが達成した大記録を大谷がマークした事実には変わりない。これは、いやがうえにも期待が高まるではないか。