史上初の八冠達成を目前にした藤井聡太七冠の無双ぶりで、かつてない盛り上がりを見せる将棋界にまたひとり、異色の棋士が現れた。
棋界に負けず劣らずの注目を浴びる麻雀界と、エンゼルスの大谷翔平の如く「プロ二刀流」を実現させたのが、プロ棋士になって30年のベテラン、鈴木大介九段だ。2017年からこの5月まで日本将棋連盟の常務理事を務めた中心人物でありながら、6月30日、麻雀プロリーグ「Mリーグ」のドラフト会議で、選手として指名されたのである。
「『Mリーグ』ではこれまでも、俳優・萩原聖人やモデルの岡田紗佳ら、異業種から参戦する選手がいました。ただ、彼らはリーグ草創期に麻雀の知名度アップのため、参戦した側面もあった。今や『Mリーグ』は麻雀経験がなくとも観戦だけを楽しむ『観る雀(みるじゃん)』と呼ばれるファンも獲得し、配信1回の再生回数が100万を下らない人気コンテンツ。つまり鈴木九段は知名度はもとより、その実力を高く買われて指名されたのです」(麻雀ニュースサイト関係者)
将棋では8大タイトルの戴冠こそないものの、一般棋戦で2度の優勝を誇る鈴木九段。麻雀は古くからの趣味であり、プロ棋士になる前の奨励会時代には、伝説の雀士と言われた桜井章一氏が主宰する麻雀集団「雀鬼会」に参加していたという。
「当時、雀鬼会ではサイバーエージェント社長で現『Mリーグ』チェアマンでもある藤田晋氏と切磋琢磨していたそうです。囲碁なども含めたテーブルゲーム全般を愛好していますが、特に麻雀への偏愛は顕著。自らの将棋の弟子である梶浦宏隆七段には『麻雀はやめとけ。俺はそれで(将棋が)ダメになった』と語ったこともあるそうですよ(笑)」(前出・麻雀ニュースサイト関係者)
過去にはマンガ「ハチワンダイバー」(集英社)の将棋監修を行い、作中にも主人公の師匠として登場したことがある鈴木九段。同作はドラマ化され、仲里依紗がメイド役でブレイクした作品だが、ドラマ版も同様に、将棋監修に携わった。チャレンジ精神の旺盛さは、将棋界でも随一なのである。
「麻雀界での認知がグッと高まったのは、2019年でした。1989年から続く、歴史あるタイトル『麻雀最強戦』で著名人枠の予選を勝ち残り、決勝トーナメントでは並みいる強豪プロをなぎ倒した。アマチュアながら、優勝をもぎ取ったんです」(前出・麻雀ニュースサイト関係者)
そして今年5月、麻雀プロ団体のひとつである日本プロ麻雀連盟に入会。プロ資格を獲得したことで「Mリーグ」への参戦資格が発生し、来季から新たにリーグに参戦する「BEAST Japanext」からの指名を受けることになったのだ。
同チームには、アイドルグループ・乃木坂46卒業生のタレント・中田花奈も指名された。話題性抜群のチームにおいて、将棋と同じく攻撃型の雀風で大暴れしてくれるだろう。