東日本大震災からの復興のシンボルとして、2014年に運行を開始した「SL銀河」(写真)が運行を終了したのは6月11日。
SL銀河は震災で被害を受けた東北地方に観光客を呼び戻そうと計画され、岩手県営運動公園に保蔵されていた国鉄C58形蒸気機関車239号を復元し、50系客車を気動車に改造したキハ141系を牽引。花巻駅と釜石駅の間を2日で一往復した。
釜石線の名所として有名な「めがね橋」(正式名称=宮守川橋梁)や難所として知られる仙人峠を通る人気のSL列車だったが、惜しくも運行終了。引退には、SL列車ならではの理由があるという。鉄道ライターが語る。
「蒸気機関車を運行していく上で最大の問題は、車両の修繕費です。蒸気機関車は中に大きなボイラーを抱えていますが、それを修理できる会社は日本に1つしかありません。当然、コストもかかります」
SL銀河は蒸気機関車のみならず客車の老朽化も問題だったそうで、
「通常、客車は動力を持ちません。ただSL銀河は仙人峠を越えるため、ディーゼルエンジンを搭載した気動車を客車にして、後ろから押す独自の編成となっていました。このような客車を新たに作る予算がないため、引退させることになったんです」
こうした問題はSL銀河に限ったことではない。
「JR東日本の『SLぐんま みなかみ』はD51形498号機とC61形20号機で運行していますが、だましだまし使っている感は否めません。秩父鉄道の『SLパレオエクスプレス』を牽引するC58形363号機などは故障で自力で走行できなくなり、その後脱線して車軸や車輪が損傷したこともある。いつ走れなくなってもおかしくない状態で、壊れてしまえば替わりはありません」(前出・鉄道ライター)
SL銀河のように引退する前に乗っておいたほうがよさそうだ。