「モテキング」のあだ名で知られる自民党の茂木敏充幹事長が7月9日からペルー、ブラジル、ポーランドの3カ国訪問に出発した。「岸田文雄首相の後釜」を狙うだけに、メディアで存在感を誇示したいとの狙いも透けて見え、お気に入りのフジテレビ女性記者らを引き連れての外遊となった。
ペルーとブラジルには、2024年のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会議の「議長国」という共通点がある。そしてこの年の9月には、自民党総裁選が行われる。茂木氏は67歳と、岸田首相(65歳)より2歳年上ということもあり、この総裁選が「ラストチャンス」といえる。それだけに、両国に加え、ウクライナ戦争でクローズアップされたポーランドも訪問することで「外交の茂木」をアピールしたいところだろう。
フジテレビも茂木氏の狙いをわきまえており、ポーランド訪問ではウクライナ避難民施設の視察もするとして「復興に向けた民間投資の促進をはかるなど、首相さながらの外交を展開する見通し」と伝えた。
もっとも、茂木氏に今求められるのは外交ではなく、今秋にも行われる可能性がある次期衆院選に向けた体制作りだ。東京では、連立を組む公明党との対立が解消されていない。大阪では自ら本部長を務める刷新本部を立ち上げ、6人の支部長らを事実上更迭した荒療治に乗り出したが、それでも日本維新の会の勢いを止めるのは難しいとみられている。
外遊先では女性記者らを引き連れて、夜のバーで赤ワインが入ったグラスを左手で揺らし、右手の指には葉巻をはさむのかもしれないが、選挙責任者に求められているのは、暑い最中に各地を回り、自民党への支持を愚直に訴えることではないのか。