劇的な変化を遂げているアスレチックス・藤浪晋太郎を巡って、怪情報が流れ始めている。8月1日に迫ったトレード期間内に、他球団へ放出されるというのだ。メジャーリーグの取材に携わるスポーツライターは、その中身について次のように説明する。
「藤浪は前半戦を終えて、31試合に登板。防御率は9.00ながら、5勝7敗2ホールドの成績を残しています。特に直近の6試合は6回2/3を投げて無失点。四死球はわずか1です。数字だけを見れば、中継ぎ陣の一角として完全にチームの戦力になっている。数字にだまされ、欲しがるチームはあるでしょう」
確かに常時、160キロを超える藤浪のストレートは魅力的だが、力を発揮し始めた背景には、チームの壊滅的な弱さがある。現在、アスレチックスは92試合を消化した時点で25勝67敗、勝率はわずかに2割7分2厘で、ア・リーグ西地区5位に沈む。4位のエンゼルスとは20.5ゲーム差もある、お荷物球団と化している。特にチーム防御率はア・リーグ最低の6.04とあって、猫の手ならぬ藤浪の手も借りたいチーム状況にあった。
その結果、藤浪は実戦経験を積み、成績を残せるようになったが、それが今後、メジャーでさらなる活躍に結びつく保証はない。
「今の藤浪は、ポストシーズン争いに全く関係のないところで投げている。いわばオープン戦や紅白戦で投げているようなもの。精神的にもろさのある藤浪が1勝の重みがある試合で、今のような投球ができるとは思えない。つまり、本当の意味の戦力としては期待できないということ。完全に売り時ですね」(前出・スポーツライター)。
藤浪はアスレチックスと1年契約で、来季以降もメジャーで投げられるかどうか不透明だ。それだけに、トレードで獲得してくれるチームが出現すれば、契約内容によっては来季以降もアメリカでのプレーが可能になる。
今後、ある程度の結果を残したとしても、4億5000万円を超すチーム5位の高給取りたる藤浪は、アスレチックスにとって費用対効果が悪い。藤浪を使って将来有望な若手を獲得できれば、チームは万々歳なのだ。
(阿部勝彦)