国内の旅行先として人気が高い沖縄には「有料のビーチ」がある。うるま市・伊計島のビーチをフェンスで囲い、海岸へ立ち入る際に400円の入場料を徴収するというものだ。管理しているのは、伊計島のビーチ周辺で飲食店などの営業を行う民間業者で、徴収は40年前から。こうした状況に、伊計島を訪れた旅行者からは「海はみんなのものではないか」と不満の声が上がり続けている。
沖縄では夏になると家族や同僚、友人たちとビーチでバーベキューをしたり、酒を飲むビーチパーティーという習わしがある。地元民に「有料ビーチ」をどう思うのか尋ねてみると、
「昔は観光客のいないローカルビーチでパーティーをすることが多かったんだけど、最近は設備がきちんと整っているビーチでやることが多いです。遊泳区域が決められていないビーチで泳ぐと、ハブやクラゲに刺されるリスクもある。沖縄の人は服を着たまま海に入ることが多いから、溺れることもある。伊計島はアクセスが不便なので、事故が起きてもすぐに助けを呼びづらいんですよね。監視員がいると安心して遊べるので、有料でも仕方ないのかなと思います」
伊計島では長年、監視員を配置するなど、安全の確保に努めている。ビーチを管理する民間業者の代表は「環境や景観を保つため」とも言うが、それについてはこんな意見もあった。
「沖縄ではビーチの環境保全活動は、NPOが国からの寄付金や募金などを活用して運営しています。ビーチの清掃も、管理している市や公園がボランティアで行います。環境を保ちたいのであれば、法に沿って運営すればいいのでは。民間企業が独自でルールを作って正義ぶるのは、ちょっと違う」(地元観光業関係者)
沖縄県では1990年10月に「何人も自由に海浜に立ち入り、利用する」権利を保障する「海浜自由使用条例」が可決されており、特定の業者が管理したり料金を徴収することは認められていない。ルールを守った上で、運営すべきではないか。