今週は牝馬クラシックのラストを飾る「秋華賞」が京都で行われる。女傑ハープスターが不在のため、オークス馬ヌーヴォレコルトに人気が集まると思われるが、万券王・水戸は、ショウナンパンドラから高配当を狙う。
女傑ハープスターがいない秋華賞。それでも前哨戦のローズSを制した“樫の女王”ヌーヴォレコルトがデンと構え、人気薄の馬が食い込む余地は小さいと見られている。
実際、牝馬同士の重賞としては堅く収まっている。02年以降、馬単が導入されてから、その馬単で万馬券になったのは08年の1回のみ(馬連も同じ)。
顔ぶれを見てみよう。トライアルでレコルトの2着にふんばった新星タガノエトワールを筆頭に、一方の前哨戦・紫苑S1、2着レーヴデトワール、ショウナンパンドラ、その紫苑Sは不良馬場に泣かされたバウンスシャッセ、休み明けを使われたことで変わり身が見込まれるレッドリヴェールほか有力どころが健在ぶりを見せつけており、どうやら今年も大きく荒れることはなさそうだ。
とはいえ、ヌーヴォレコルトを“絶対視”していいのだろうか。当方としては、そうは思いにくい。
確かに前走のローズSは完勝に近い勝ちっぷり、内容ではあった。が、振り返ってみると、関西までの長距離輸送があったにせよ、休み明けで前走比の体重が6キロ減。パドックではイレ込んで落ち着きを欠く場面が見られた。今回は、そのまま関西(栗東トレセン)にとどまり、負担を軽減させて万全を期しているにせよ、どうだろう。“2走目のポカ(2走ボケ)”も懸念されなくはない。
女心と秋の空‥‥とはよく言われるが、あっさりと肩透かしを食らうのが牝馬。それも成長途上の3歳馬の若駒にはよくあること。それにヌーヴォレコルトは実績があるが、大きく抜けて強いというわけではないだろう。“2走目のポカ”を前提にしようがしまいが、まともでも、つけいるスキはあるはずで、無条件に中心視はできない。穴党としては、やはり疑ってかかりたいところだ。
タテ目千両という言葉がある。2番人気、3番人気の組み合わせ連勝馬券でも予想外に大きな配当になるという意である。
結果的にヌーヴォレコルトに続く人気馬になるかどうかはわからないが、イチオシしたいのは、ショウナンパンドラである。
前走の紫苑Sはクビ差2着。まずは5番人気以内に入るはずだ。とはいえ、ヌーヴォレコルトが最有力と見られているだけに、単勝は7、8倍。あるいは、それ以上の配当になる可能性もある。とにかく夏以降の急成長ぶりは目をみはるばかりで、短期放牧明け後の前々走は、春にはなかった迫力を感じさせた。
その前2走は、ともに道悪馬場でのもの。なのに、ものともせず強烈な末脚で1、2着。特に紫苑Sはいったん先頭に立ったが、通ったコースの差でレーヴデトワールの外からの強襲を防ぎ切れなかった。しかし本番に向けて陣営は自信を持ったのではないか。
「この中間、さらに体調がアップしたと思う。稽古の動き、気配とも文句なし。とにかく楽しみです」
こう期待感たっぷりに語るのは高野調教師だが、先々週、先週と追い切りの動きは軽快かつリズミカル。春と違って食欲が旺盛になったそうで、仕上がり状態のよさは明らかだ。
であれば、チャンスは十分ある。この馬のよさは堅実性と相手なりに走る勝負強さ。大一番でも大きな武器になるはずだ。
小柄だが均斉の取れた好馬体はホレボレするばかり。このへんは血統(母系)的なよさも影響してのことなのだろう。今や日本で一、二を争う種牡馬となったステイゴールド、サッカーボーイ(マイルCS)、そして先だってのGIスプリンターズSを制したスノードラゴンなど近親、一族に活躍馬がズラリ。大一番に強い血筋であるならば、この馬も頂点に立っていい。
◆アサヒ芸能10/14発売(10/23号)より