今週末に行われる「札幌記念」は、秋の凱旋門賞に挑むゴールドシップとハープスターが人気を分け合う形。伝統の一戦にふさわしい戦いが繰り広げられそうだ。一方、先行馬がそろった「北九州記念」は、差し馬に穴の気配。
50回目を迎える伝統の札幌記念。GIへの格上げが検討されている重賞だけに、これまでと同様、顔ぶれがいい。
海外遠征(凱旋門賞挑戦)を控えているゴールドシップとハープスターが人気を分け合うのだろうが、ホエールキャプチャ(ヴィクトリアマイル)、ロゴタイプ(皐月賞)とGI勝ち馬は計4頭。さらにはGI香港カップ2着のトウケイヘイロー、函館記念勝ちのラブイズブーシェなど役者ぞろい。今年もまた見応え満点の白熱したレースになること請け合いだ。
定量戦(4歳以上57キロ、3歳54キロ、牝馬2キロ減)だけに、比較的順当に収まる重賞だが、それでもとんでもない高配当が飛び出ることがあり、単純に実績だけを重視すべきでないことは確かだ。
過去10年を振り返ってみてわかることは、充実期を迎えている4、5歳馬が優位にあること。そして牝馬の活躍が目立つことだろうか。牝馬は暑さに強いこともあるが、斤量面での恩恵は見逃せない(ハープスターは52キロでの出走)。
ならばブエナビスタ(同じ3歳時にハナ差2着)の例もあり、ハープスターを主力に据えるのが馬券の筋論ということになるか。
なるほど、3カ月ぶりの実戦になるが、ここ目標に早くから牧場(ノーザンファーム)で乗り出しており、調教量は豊富。「遠征前だし、下手な競馬はできない」(松田博調教師)と陣営は臨戦態勢が整っていること、仕上がりのよさを強調している。6戦4勝2着2回と確かに勝機は十分と見ていいだろう。
もう1頭の人気馬ゴールドシップの仕上がりのよさも目立つ。宝塚記念を連覇したあと、放牧で英気を養って函館競馬場入り。当地でたっぷりと乗り込んで、1週前の追い切りも文句なし。力を要す北海道の洋芝は得意中の得意とあっては、ケチのつけようがない。
では穴党に出番がない堅いレースなのか。いや、つけいる隙はあるはずだ。人気を分け合う両馬は休み明け。力を出せる状態に仕上がってはいるだろうが、完璧とは言いがたい。特にハープスターは成長期にある3歳馬。体重増は容易に想像でき、結果、重め残りで意外なつまずきもなくはない。そうでなくともこれだけの顔ぶれ。割って入る馬は必ずいる。少なくとも穴党としてはそう見たい。
4、5歳馬が強いとあれば、昨年の雪辱を期すロゴタイプに注目したい。
今回は5カ月ぶりの実戦。しかも前走のドバイ遠征でのドバイDFでは大敗を喫しており、帰国後は心身ともに疲れを取るのに時間を要したとのこと。巻き返しを期すのはかなり酷なのではと見られてもやむをえないところだ。
しかし、春、予定していた安田記念を自重したのがよく、社台ファームでの万全のケアが奏功。立ち直りは早く、春後半からこの夏の調整が予想外に進んだ。
田中剛調教師は言う。
「休養前より数段いい状態。乗り込み量は豊富で、この分なら使っている馬と変わりない状態で臨めるはず」
なるほど、牧場から函館に移動しての調教内容は目をみはるばかり。3週前、2週前の追い切りはパワフルで抜群だった。よって1週前のそれは、ごく軽めで済ませたほどだ。手綱を取った村田騎手は「言うことなし。昨年を上回るデキ。皐月賞を勝った時の雰囲気にある」と目を細める。
ならば鉄砲駆けが利くタイプ。良馬場なら昨年の汚名を返上する好走を期待していいのではないか。久々も、仕上がりのよさと能力の高さに賭けたい。
◆アサヒ芸能8/19発売(8/28号)より