まさにツッコミどころ満載のトンデモ会見だった。ほかでもない、保険金の不正請求問題で大揺れのビッグモーターが7月25日に開いた謝罪会見である。
中でも会見に参集した記者らをアキレさせたのは、兼重宏行社長が語気を強めて口にした、以下のような「筋違い発言」だった。
●不正請求は板金・塗装部門が単独でやったこと。経営陣は全く知らなかった
●場合によっては不正を行った社員を刑事告発する
●(修理担当者がゴルフボールを入れた靴下を振り回すなどして車を傷つけていたことについて)本当に許せない。ゴルフを愛する人への冒涜だ
まさしく「悪いのは社員」「オレは悪くない」と言わんばかりの無責任大放言。ゴルフボールを巡る口上に至っては、それこそ「オイオイ、問題はソコじゃないだろ!」とのツッコミを入れたくなるほどのトンチンカンぶりである。
いや、この問題が根深い原因は、不正にまつわるいい加減ぶりが際立っているから、ということだけではない。
謝罪会見の冒頭、兼重社長は7月26日付で社長を辞任すること、また長男の兼重宏一副社長も辞任することを明らかにしている。しかし、ビッグモーターには「ビッグアセット」なる資産管理会社が存在する。
同社の社長は宏行氏が務め、取締役には宏一氏が就いているが、両氏とも同職については辞任せず、続投することが明らかになっている。また、同社は両氏が保有するビッグモーター社株の管理も行っているのだ。ビッグモーター関係者が言う。
「これぞ、世間の目を欺く巧妙な手口。兼重親子が大株主であり続ける以上、オーナー一族による経営支配はまだまだ続きます」