プロ野球セ・リーグでは広島の強さが際立っている。ヤクルト戦(7月27日)も4-1と快勝し4年ぶりとなる10連勝。4月17日以来の首位に立った。
好調の要因は、やはり今季から就任した新井貴浩監督だ。昨年の秋季キャンプの初日に選手全員の前で、「(広島)カープという大きな家にお前たちがある。俺は家族同然と思っている」
と大熱弁。シーズンに入っても選手に対するモチベーションの上げ方を第一に考えていた。
現役時代は「絶好調男」として活躍した中畑清氏も、駒大の後輩である新井監督推しで、
「お客さんの気持ちを思い、俺の流れを汲んでくれる『お祭り野球』をやってくれる男こそ、新井監督。この俺でも4年も監督が出来た。思う存分やってほしい」
と熱烈応援中だ。
新井監督の選手掌握術は、決して上から目線ではないこと。広島担当記者によれば、
「ミスをした選手に対してもネガティブなコメントは一切しない。新井監督は若手時代に監督やコーチに散々、怒鳴りつけられてきましたが…。満を持して監督になった今、選手を悪く言うことは一度もない。これまでのカープの監督になかった色を出しています」
現役時代の自身の指導者を反面教師にしていると言えるが、「叱らない監督」のヒントをもらったのは新井監督が評論家時代に「日本ハムのキャンプに行くのが楽しみでしょうがなかった」と言っていた栗山英樹氏だった。
28日からは甲子園球場で阪神と首位攻防戦が始まる。広島が勝ち越すようなことがあると、抜け出す可能性も十分。新井監督の「怒らない」リーダーシップで、今季の広島は雰囲気が抜群に良い。
(小田龍司)