長野久義の、広島から巨人への「5年ぶりの出戻りトレード」は、なぜ実現したのか。
そもそもは18年オフ、国内FA権を行使して広島から巨人に移籍した丸佳浩の人的補償で、長野が広島に移籍。今シーズンは58試合出場、打率2割1分1厘、3本塁打と、プロ入り後ワーストの成績に終わった。
「気前のいい『チョーさん』は、広島でも健在。ただ、コロナ禍以降は得意の飲みにケーションも大々的に開くことができず、持ち味を今ひとつ発揮できずにいました」(球団OB)
今回の異例の無償トレードの背景には、かつて広島が長野獲得を望んだ経緯と思惑がある。球団関係者が明かす。
「戦力としての評価よりも、巨人へのダメージを優先させたのが、長野の獲得でした。生え抜きのドラフト1位で、打撃タイトルも取ったことがある功労者。まさか持っていかれまいと巨人は油断して、プロテクトの28人から外していたのです。セ・リーグ3連覇を成し遂げ、チームの中心選手だった丸を取られた広島としては、どうしてもやり返したかった」
しかしその後、長野は年齢による衰えが目立ち、戦力としての評価が下がっていた。
「新井新監督になり、事実上の戦力外だったということでしょう。残したところで大幅減俸の上、ポジションもなかなかないですから」 (前出・球団関係者)
長野の人柄の良さが生んだ、精一杯のトレードだったのだ。