関東と関西では文化が異なり、特に食文化は大きな差がある。卵焼きの味付けやうどんの汁、うなぎの開き方、すき焼きの味付けなど話題になることも多い。立ち食いそばで提供されることが多い「コロッケそば」も、東西で評価が大きく異なる。
関東では多くの店で提供され人気メニューの上位に入っているが、関西ではほとんど知られておらず提供する店も少ない。もちろん人気メニューとは言えない。なぜこのような差が生まれたのか。フードライターが解説する。
「コロッケそばの発祥は、明治に日本橋浜町にあった『花屋敷の吉田』だとされています。ただ、今のようなポテトコロッケではなく鶏肉の揚げ物だったとか。その後、昭和40年代になり『名代箱根そば』が都内に店を出す時にメニューとして採用したのがコロッケそばでした。それがヒットし、関東で人気になったと言われています。ただ、ほぼ同時期に大阪の『麺処潮屋梅田店』もコロッケそばの提供を始めましたのですが、広まることはありませんでした。関西ではうどん文化が主流だったからではないかと考えられています」
一言でコロッケといっても店によって違いがあり、元祖・名代箱根そばはカレー味で、じゃがいもを細かくつぶすタイプや大きめの塊を残すもの、肉のありなしとバリエーションは豊かだ。食べ方も人によってさまざまで、
「汁が染みたコロッケをくずさないように食べる人もいれば、半分だけ食べて残りを崩して汁とまぜて味変する人もいます。いきなりコロッケを崩して汁をコーンポタージュのようにするツワモノもいますね。自分の好きな食べ方ができるのがコロッケそばの魅力。またどの食べ方もおいしいんです」(前出・フードライター)
他のメニューに比べて安価でボリュームもあり、おいしいと三拍子揃ったコロッケそば。関西の人にもぜひ食べてほしい。箱根に旅行する機会があれば、元祖を味わってみてはいかがだろうか。