夏の風物詩である花火大会。今年からはコロナ禍以前の規模で開催するところも多く、ようやく日本の夏が本格的に戻ってきた印象だが、実は多くの花火大会で「有料席」を導入するところが増えている。エンタメ誌ライターが語る。
「群馬県高崎市は8月26日に開催する『高崎まつり大花火大会』の有料観覧席のチケットの販売を開始しましたが、今年は無料エリアを削って例年の3倍となる1万3000席に有料エリアを拡大しました。また京都府亀岡市内で開催される『保津川市民花火大会』では今年から無料エリアを廃止し、全エリアに2万5000席の有料観客席を儲け、ロイヤル席は1席1万5000円に設定されています。他にも多くの花火大会で有料席の新設、増設が相次いでおり、無料エリアの減少を嘆く声も少なくありません」
花火大会にも物価高が影響している。今年は花火玉の仕入れ値が例年より2割ほど上昇し、警備や誘導を行うスタッフの人件費も高騰。中止を決断せざるを得ないところも少なくないという。地元の寄付を頼りしている大会も少なくないが、それだけでは運営費をまかなえきれず、有料席の導入やクラウドファンディングを実施して出資を募る自治体も増えているのだ。
「さらに、今年の花火大会には昨年10月にソウルの梨泰院で起きた雑踏事故の影響も小さくないといいます。コロナの規制緩和とハロウィンによる過剰な混雑を予想できず、警備体制の不備によって159人の死者を出した事故は、かつて日本で起きた明石花火大会歩道橋事故を思い起こさせ、多くの大会で警備を強化して開催に望むことになります。しかし、スタッフの人員不足は深刻な状況で、人件費のために苦渋の決断で有料席を導入するところもあるのです」(前出・エンタメ誌ライター)
花火大会を安全にコロナ以前の規模で存続させるためにも、有料席の導入は不可欠のようだ。
(小林洋三)