俳優の梅宮辰夫(80)さんがホテルで転倒し、顔面を30針縫う大ケガを負った。今、このような転倒が増え、転倒死が増え続けている。
3月15日、東京都港区の東京プリンスホテルで行われた初の「ディナー&トークショー」出演のためホテルに到着した梅宮さん。車を降りて2歩、歩いたとたん玄関前で脚がもつれて転倒。コンクリートに顔面を強く打ち、右側の額と頬、鼻の上など数カ所に裂傷および打撲を負い、30針縫う大ケガを負ったのだ。近くにいた目撃者はこう話していた。
「手でかばうことができなかったため、額の右側がぱっくりと裂け、鼻と右頬を打撲。床には、血がしたたり落ちていた」
そして娘の梅宮アンナさんは質問にこう答えていた。
「パパ、また転んだわ」
梅宮さんはよく転倒していたのだ。齢80。高齢者はよく転ぶが、しかしバカにしてはいけない。家の中でも台所や浴室などの濡れている場所や階段、片付けられていない部屋でのコードでのひっかかりや新聞紙での滑りによる転倒事故が後を絶たないのだ。
実際、40歳以上の転倒事故は増え続け、厚労省の「平成28年人口動態」の調査によれば、転倒・転落による死者数は年間8030人にも上るのだ。そして中でも「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」による死者は5788人にもなる。ちなみに交通事故による死者数は5278人だ。つまり転んで打ちどころが悪くて亡くなる人は交通事故の死者を上回っているのだ。
梅宮さんはその後手術を受けた病院からホテルに戻り、ばんそうこうで覆った姿のままショーを行い、「今日は“オペラ座の怪人”だ」とジョークを交えて歌とトークを披露した。幸いCT検査の結果、骨や脳などに異常はなかったことが不幸中の幸いだったが、そうでなかった場合の転倒の危険性は、前記の統計が物語っている。中嶋内科クリニックの中嶋雄一院長が話す。
「原因は、自分は転ばないという過信、慢心と筋力の低下によるバランス感覚の低下によります。細心の注意はもちろんですが、ツエを使うことは必要。また転倒した時ケガを少なくするため、転んだ時に手をつく訓練を家で日頃から行うことです」
手をつくことで大ケガは防げるというのだから、訓練を面倒くさがってる場合じゃない。
(谷川渓)