日本には無数の心霊スポットが存在するが、中でも多いのが「隧道(ずいどう)」だ。
隧道とは地中や山などをくり抜いて作られる道路や通路のことで、いわゆる「トンネル」のこと。かつて土木技術が未発達だった時代、工事中の事故で死者が出ることは決して珍しいことではなかった。人生の志半ばにして亡くなってしまった作業員たちの霊が、成仏できずに現世を漂っているようだ。
奈良県五條市にある隧道も、そんな心霊スポットのひとつ。全長は約800m程で入り口から覗けば向こう側が白く光って見える。ここは当初、「五新鉄道」の路線のために作られたが、第二次世界大戦の影響で工事が途中で中止され計画は頓挫。戦後は国鉄バスの専用道路として活用されていたが、現在は金網で封鎖されている。
オカルトライターが語る。
「ここでも工事中に事故があり、作業員が犠牲になっています。入り口付近には地元の人が設置した簡易的な慰霊碑があり、夏になると若者が肝試しに訪れることもあります。トンネルの中から吹いてくる風は真夏でも異様なほどひんやりしていて、何か特別な理由があるのかもしれません。トンネルが封鎖される前はバイク事故も発生しており、封鎖されているとはいえ興味本位で近づかない方がいいでしょう」
隧道といえば、川端康成の「伊豆の踊り子」や、松本清張の「天城越え」などに登場する「旧天城トンネル」が有名だが、ここは事故で亡くなった作業員を供養することなく壁に埋め込み「人柱にした」などという都市伝説めいたウワサがあり、これまでにも様々な心霊現象が目撃されている。
特に旧道に作られた隧道は危険な心霊スポットといえよう。
(ケン高田)