打撃陣で最も好調なのは岡本和真(27)=巨人=だ。20本塁打はリーグトップ、打率2割9分7厘もリーグ3位に位置している。2年前に本塁打王を分け合ったヤクルトの村上が昨年三冠王に輝き、その悔しさをバネに奮起している向きもあるが、この調子なら自身3度目のタイトル獲得も夢じゃない。
江本氏は好調の要因を次のように分析する。
「岡本の欠点は肥満。それが原因で成績に波があるんだけど、今年は体も絞れて腰の回転もよくなった」
次いでDeNAの4番・牧秀悟(25)は16本で56打点、ソフトバンクに移籍した近藤健介(29)も、自己最多の12本塁打を放つ好調ぶりで、打者陣では岡本らに並ぶトップ3の活躍度と言えるだろう。
一方で村上宗隆(23)=ヤクルト=は、83試合中82試合で4番を任されるも、打率2割4分2厘、16本塁打と苦しんでいる。前半戦終了直前の5試合で4本塁打と不調から抜け出す兆しを見せたものの、昨年の三冠王がオールスターに選ばれない事態となった。
「前半戦はマークも厳しく、チーム低迷の要因だったけど、オールスター前にノッてきましたね。後半戦の初戦となった阪神戦でも本塁打を放ちましたから。この調子ならシーズン終了時には30本ぐらいは打っているでしょう」(伊原氏)
昨年の覇者ヤクルトは、前半戦をまさかの5位で折り返し。低迷の要因は山田哲人(31)にもある。WBCでは15打数4安打ながら、前半戦は56試合で打率2割3分4厘、9本塁打。2年連続トリプル3を達成した16年をピークに、成績は下り坂だ。
「五輪やWBCなど代表での活躍とは裏腹に、近年の成績は落ちる一方。今後の代表選出はどうかな、と感じました。まだ31歳ですけど、並みの選手になっちゃったね」(伊原氏)
低迷ヤクルトの中でも、守りの要で捕手の中村悠平(33)がチームを支えている。コロナ特例での抹消もあったが、盗塁阻止率4割3分2厘はセ・リーグでダントツ。ソフトバンクの甲斐拓也(30)が3割2分7厘だけに、いかに中村の強肩ぶりが投手陣を救っているかがわかるだろう。
「打率が2割3分前後ともの足りないけど、キャッチャーとしての仕事はちゃんとしている。前半戦終盤、巨人戦で決勝3ランを放って2試合連続でお立ち台に立ったように、後半戦は打撃にも注目したいですね」(伊原氏)
侍戦士の中で唯一、評価不能なのが山川穂高(31)=西武=だ。女性関係のトラブルから5月12日に登録を抹消された。
江本氏が「とにかく残念だね」と語れば、伊原氏も「森友哉(27)がオリックスにFA移籍して山川が不在となれば、5位なのも当然でしょう」と、山川不在の大きさを分析する。
チーム打率2割3分1厘でリーグ5位、総得点は235でリーグ最下位に甘んじている西武。果たして後半の巻き返しはあるのか。