今年3月、連覇を狙うアメリカを決勝戦で撃破し、14年ぶり3度目の世界一に輝いた侍JAPAN。例年とは異なる調整だったこともあり、シーズン突入後の疲労も心配されていた。だが蓋を開ければ、メジャーの大谷翔平や吉田正尚だけでなく、国内組も大活躍。そんな侍戦士たちの前半戦を総括する。
侍JAPANを優勝に導いた投手陣15人のうち、前半戦(7月17日終了時点。成績は以下同)で9勝3敗、防御率1.74の突出した好成績を残しているのが山本由伸(24)=オリックス=だ。
野球評論家の江本孟紀氏が舌を巻く。
「WBCでも大会2位の12奪三振を奪う活躍をみせましたが、とにかく調整がうまい。今季は18〜20勝を期待したいですね」
元西武監督の伊原春樹氏も「パ・リーグで防御率が1点台なのは山本と佐々木朗希(21)=ロッテ=、そして山下舜平大(21)=オリックス=の3人だけ。安定した投手がいると監督も安心できます」と、WBCで先発を務めた2人を絶賛するのだ。
セ・リーグでは戸郷翔征(23)=巨人=が8勝2敗とハーラーダービートップの安定感をみせれば、今永昇太(29)=DeNA=も6勝1敗とチームを牽引している。
「今永の初登板は4月21日の広島戦。シーズン前の調整はズレたけど、8回を5安打無失点で勝利に導いたように、さすがの安定感だね」(江本氏)
WBC優勝の勢いのまま活躍をみせている選手がいる一方、4勝5敗、防御率3.53と成績を落としているのが高橋奎二(26)=ヤクルト=だ。伊原氏は同情的で、
「チームの失点数はセ・リーグ最下位ですけど、村上宗隆(23)の不振もあってチーム打率も最下位。そんな状況下でよく頑張っていると思います」
と、擁護する。
中継ぎ陣に目を移すと、松井裕樹(27)=楽天=が23セーブで防御率0.55とさすがの安定感を誇っているが、昨年は防御率1.09で45HPを挙げた阪神の守護神・湯浅京己(24)は、15試合に登板して防御率4.40。準決勝のメキシコ戦でピンチを救った力投はどうしたものか。
阪神記者の話。
「実は球速も制球力も昨季と遜色はない。ただ湯浅自身も反省しているようにボールのキレがイマイチ。対戦相手が打ち損じるはずのボールをことごとく、安打にされてしまう。疲労の蓄積も考えられます」
巨人の守護神・大勢(24)も14セーブを挙げているものの防御率は3.00。6月30日には右上肢のコンディション不良のため、出場選手登録を抹消された。
「新人最多タイの37セーブを記録するなど、想像以上に好成績だった昨年が基準になっているので、WBCの影響というよりも、文字どおり2年目のジンクスでしょう。今は未知の世界やね」(江本氏)
もっと経験を積めば、今まで以上に大成すると、期待をかける。