3月の各報道機関による世論調査で、岸田内閣の支持率が軒並み急上昇した。
朝日新聞(3月18、19日)の世論調査では、2月の35%から40%に。常時、やや辛めの支持率が出る毎日新聞調査でさえ33%で、2月より7ポイントも上昇し、時事通信も2.1ポイント増の29.9%に伸びている。
朝日新聞の調査によれば、特に高齢者層の支持率が急激に伸びており、60代で10%以上、70代以上で20%近く上昇しているのだ。その背景を、政治アナリストが分析する。
「ひとつはコロナの鎮静化。都内でも感染者が800人程度にまで減り、飲食店も観光地も再び活気を取り戻しつつある。こうした国民のテンションの上がり具合が支持率アップにつながっていることは間違いない」
ふたつ目は、プロパンガスへの補助を決めたことだという。
「ロシアによるウクライナ侵攻の影響で電気やガスの値が爆上がりし、国民が悲鳴を上げる中、国は昨年、電気代や都市ガスへの補助金投入を決めた。しかし地方ではプロパンの使用が圧倒的で、不満が溜まっていたんです。そこでプロパンへの補助金も実現させたことで、地方の岸田支持が回復したんです」(前出・政治アナリスト)
そして金融系シンクタンク研究員が「スマッシュヒット」として挙げるのが「マイナポイント」だ。
「マイナンバーカード申請登録でのポイント付与が、支持率アップに大きな役割を果たしているとみています。申請締め切りの2月末、全国の自治体窓口の長蛇の列を見れば、反響は一目瞭然です」
マイナンバーカードを駆け込みで作成した70代の男性が明かす。
「2万ポイントで食料や酒などを購入しています。値上がりオンパレードの中、本当に助かる。最初は頼りなかった岸田さんだけど、一生懸命やっているようだし、まぁ評価したい」
政権分析の専門家も、こうした要素が重なり政権支持率が一気に上がったと指摘しているのだが、霞が関関係者はこう付け加える。
「支持率上昇直後の3月21日、岸田総理はウクライナを電撃訪問しゼレンスキー大統領と電撃会談した。これで支持率のさらなるアップは確実だ」
桜の開花とともに、岸田政権に追い風が吹き始めたのは確かなようだ。
(田村建光)